Page 4 / 6 1ページ目から読む

サントラの聴きどころ

 映画は、77年にリリースされた『Exodus』の誕生秘話が多いため、映画で使われる曲もその時期のものが多い。前述したように、ボブには『Legend』という鉄壁のベスト盤がある。17曲収録のサウンドトラックは、“Get Up, Stand Up”“Redemption Song”“I Shot The Sheriff”といった代表曲を押さえつつ、レゲエの良さをストレートに伝える“Roots, Rock, Reggae”や、ラスタファリズムに基づいた“So Jah S'eh”が選ばれている。実は、この曲と“War / No More Trouble”は、今回改めてレコーディングされた。中心となったのは、映画のサウンド監修を務める次男のスティーブン・マーリー。映画にも出演しているアストン・バレット・ジュニアがキーボードを担当し、ジャマイカの大御所シンガー、ストレンジャー・コールの息子ウィルバーン・コールがドラムとパーカッションを叩いている。

 ボブ・マーリーの息子たちは〈マーリー・ブラザーズ〉として有名だ。そのなかで、プロデュース能力にもっとも長けているスティーブンは、今回もいい仕事をしている。特にかなりアレンジが違う“So Jah S’eh”は、父が遺した曲の真髄を変えずにアップデートしていて、聴きごたえがある。また、多くのアーティストにカヴァーされている“No Woman, No Cry”は、『Legend』とは違う、ロンドンのレインボー・シアターでのライヴ・バージョンが収められ、聴き比べる楽しみがある。

 サントラで予習してから、音楽ラヴァーズにとっては、2024年の大吉報のひとつ、「ボブ・マーリー:ONE LOVE」はぜひ、音響のいい映画館で楽しんでほしい。 *池城美菜子

左から、2012年のドキュメンタリー映画「ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド」のサントラ『Marley』、ボブ・マーリー&ザ・チネケ!オーケストラの2022年作『Bob Marley & The Chineke! Orchestra』(共にTuff Gong/Island)

左から、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのベスト盤『Legend』(Tuff Gong/Island)、生誕75周年を記念した日本独自編集盤『Greatest Hits In Japan』(ユニバーサル)

左から、リタ・マーリーの82年作『Harambé』(Rita Marley Music/Shanachie)、マーシャ・グリフィスの74年作を含む編集盤『Sweet Bitter Love & Far And Distant』(Doctor Bird)、ジュディ・モワットの79年作『Black Woman』(Ashandan/Island)

マーリー家の近作を一部紹介。
左から、ダミアン・マーリーの2017年作『Stony Hill』(Ghetto Youths/Republic)、ジュリアン・マーリーの2019年作『As I Am』(Zojak/Ghetto Youths)、スキップ・マーリーの2020年のEP『Higher Place』(Tuff Gong/Island)

 


MOVIE INFORMATION
ボブ・マーリー:ONE LOVE

©2024 PARAMOUNT PICTURES

ジャマイカが生んだ伝説のレゲエ・ミュージシャン、ボブ・マーリーの波乱万丈な人生を描いた音楽伝記ドラマ。「ドリームプラン」のレイナルド・マーカス・グリーンが監督を務め、プロデューサーにはボブ・マーリーの妻リタ、息子ジギー、娘セデラが名を連ねた。「あの夜、マイアミで」のキングズリー・ベン=アディルがボブ・マーリー役で主演し、「キャプテン・マーベル」のラシャーナ・リンチが妻リタを演じている。

監督:レイナルド・マーカス・グリーン
製作:ロバート・テイテル、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー、ジギー・マーリー、リタ・マーリー、セデラ・マーリー
製作総指揮:ブラッド・ピット、リチャード・ヒューイット、オーリー・マーリー、マット・ソロドキー
音楽:クリス・バワーズ
音楽監修:スティーブン・マーリー
音楽総指揮:ハーヴィー・メイソンJr
出演:キングズリー・ベン=アディル、ラシャーナ・リンチ、ジェームズ・ノートン、トシン・コール、アストン・バレットJr、デヴィッド・カー 他

2024年製作/108分/PG12/アメリカ
原題:Bob Marley: One Love
配給:東和ピクチャーズ
劇場公開日:2024年5月17日