パーヴォとトーンハレ管がひときわ充実期にあることを高らかに示す秀逸の交響曲全集。しかも“真夏の夜の夢”を抜粋でもう1枚追加。両者の音楽性の協和が活力に満ちた精彩に富む表情で一貫され、パーヴォの弾力豊かでありながら明快な造型に、稠密度の極めて高いソノリティで応えるトーンハレ管の機能性がこのメンデルスゾーンで縦横に発露されている。特に第2番“讃歌”、シンフォニアでの含蓄ある筆致に躍動する声楽が加わり、実に輝かしい。合唱も高精度だ。第5番“宗教改革”も名演。主題の入念な扱い、展開の緊密なコントロールから生み出される音楽の高揚と静謐。その音響美に酔いしれたい。