エストニアの音楽はペルトの存在と合唱好きで知られるこの国の人々の影響か、静かな合唱や弦楽器の作品に光があたってきた。レインヴェレのオーケストラ作品は打楽器が躍動し迫力がある。日本語に直訳すると〈そして幸せに疲れて彼らは踊り始めた〉はバスドラム中心に乱舞するが、常に醒めた視線を感じる。フルートの協奏曲は尺八に似た音色と吹き方と打楽器が交錯する。直訳で〈愚者の船に乗って〉はルーテ(ムチ)による鳥の羽音とトランペットや弦楽器のピーチクパーチク細かな雑音表現が執拗に繰り返され、それが大きくなりすべてを覆っていく様に水色の鳥マークのソーシャルメディアを思い出すのは私だけだろうか。