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CDの良さや楽しさが恋しい

――この連載は、CDというメディアについて、今、改めてCD世代として考えよう、というのがテーマなんです。日本のレコード会社に所属するメジャーアーティストとして、CDっていうものを実際今どう思うか、っていうのをトーフさんに改めて聞きたいなと。

「ムズいな(笑)。まあ正直、今回の『NOBODY』から、CDで出すか出さないかっていうことすら会社から聞かれなくなった、というのはありますね。一方で自分もリスナーとしては、CDが出たら嬉しいっていうのはありますし。サンプル盤としてCDを貰うと、〈CDも作ってるんや~〉って感心しますし。

あと去年、車を買い替えた時に、オプションでもCDプレイヤーが付けられなかったんですよ。これは結構びっくりしましたね。社外品の、昔よくあったCDオートチェンジャーみたいなのを入れなアカンのか、みたいに思って(笑)。CDは車で聴けるのが良い、というのが自分の中ではずっとあったんですけど」

――確かにミックスCDは車で聴く、って人は自分の周りにも多いですね。

「あと言われてみればって感じですが、自分がDJを始めた頃の(アナログDJとは別の)CD DJとしてのプライド、みたいなものってちょっとあったなと思いますね。

当時、CDでDJやってた頃に、持参していたCDバッグがこれなんですけど。多い時だとこういうのを4つくらい現場に持ち込んでましたね。これはJ-POPのイベントで回す時のファイルだと思うんで、CD-Rのメモに〈申し訳 ハロプロ〉〈申し訳 アイドル〉とか書いてます。これだけ量あったら、単純に重いですし、結局レコードを運ぶんとあんま変わらんなーと思ってましたね」

※編集部注 J-POP DJイベント〈(有)申し訳ないと〉のこと。ちなみに運営会社の有限会社申し訳は2024年3月15日に社名を有限会社J-CLUBへ変更

――モノとして存在する限り、モノとしての重さや愛着は、レコード同様にCDにもあると。

「そうですね。〈CD-Rを焼く〉って感覚も、レコードにはない面白さがありましたね。ただ、世代的にもCDにどっぷりなんで、改めて〈CDの魅力は?〉って言われると難しいかも知れないですね……。あ、レコードよりCDの方がブックレットが充実していることが多いですよね。そこは結構嬉しいかな」

――いわゆる歌詞カードとは別に、白黒プリントで8ページのインタビューが付いてるとか、ああいうのは嬉しいですよね。

「あと、近年のカセットブームってある種の手軽さで流行った部分があると思うんですけど、そのポスト的存在としてCDが注目される、みたいな可能性もあるのかなーと思います。CDは供給タイトルが多くて、中古市場もまだまだ広いですし」

――ストリーミングではない音楽の聴き方に興味はあるけど、レコードはちょっと敷居が高いっていう若い子が、じゃあCD、っていう選択肢は増えそうな気がします。

Kotetsuさんが紹介してたポータブルCDプレーヤーみたいなのは、そういう若者にとっても魅力的に見えるかも知れないですね。無印良品の壁掛けCDプレーヤーなんかもありますが」

――無印のCDプレーヤーはコピー品も出るくらい、人気みたいですね。ちなみにCDの音質っていう点ではどう思いますか?

「僕はCDの音質で必要十分だと思います。44.1kHz/16bitの音質に不足があると思ったことはないですね。普通にCDは音が良いというか、アナログなどに比べてムラがないですよね。だからこそこれだけ広く普及したんでしょうし」

――レコードブームで改めてレコードの良さが再発見されたように、CDもCDの良さが改めて見つかるのかもな、と思ってます。

「そうですね、レコードよりもハンディ(手軽)ですし。やっぱりこういう、メディアを出し入れする感覚って、今となっては恋しいというか。そういう、手に取る楽しさみたいなのは、レコードだけじゃなく、CDにも充分あると思いますね」

 

……ということで、tofubeatsの音楽遍歴とそのコレクション、そしてCDの〈これから〉まで、話は尽きることなく巡り続けた。CDへの思いを語るtofubeatsの瞳の輝き、あれはディスクの反射のせいだけではありますまい。そう、リバイバルとは未来に向かうノスタルジー……。CD再生委員会は引き続き、あの輝く円盤の過去と未来を見つめて行きますぞ!

tofubeats『NOBODY』は絶賛配信中! 行き場の無いマシーンソウルが無人のハイウェイを疾走する令和のJ-CLUBクラシックが爆誕。どこから来、どこに行くのか誰も知らないAIボーカルが優しく歌いかける。ハウスミュージックの哀しい悦びをあなたに。

 


RELEASE INFORMATION

tofubeats 『NOBODY』 unBORDE(2024)

■デジタル配信
リリース日:2024年4月26日(金)
配信リンク:https://tofubeats.lnk.to/NOBODY

TRACKLIST
1. I CAN FEEL IT (Single Mix)
2. EVERYONE CAN BE A DJ
3. Why Don’t You Come With Me?
4. YOU-N-ME
5. Remained Wall
6. I CAN FEEL IT
7. NOBODY
8. NOBODY (Slow Mix)

■アナログ盤
リリース日:2024年7月17日(水)
品番:WPJL-10214
価格:4,180円(税込)

TRACKLIST
1. I CAN FEEL IT (Single Mix)
2. EVERYONE CAN BE A DJ
3. Why Don’t You Come With Me?
4. YOU-N-ME
5. Remained Wall
6. I CAN FEEL IT
7. NOBODY

 

LIVE INFORMATION
dodo x tofubeats x VaVa
2024年6月2日(日)東京・恵比寿 The Garden Hall
出演:tofubeats(ライブ)/dodo/VaVa

SOCORE FACTORY 10TH ANNIVERSARY Socore Day Factory
2024年6月9日(日)大阪・南堀江 SOCORE FACTOY
出演:tofubeats(DJ)

AUDIO TWO -tofubeats NEW EP ”NOBODY” Release party-
2024年6月15日(土)東京・渋谷 CIRCUS TOKYO
出演:tofubeats(DJ)/okadada/DJ WILDPARTY

tofubeats in KANAZAWA
2024年6月22日(土)石川・金沢 DOUBLE
出演:tofubeats(DJ)

YEBISU YA PRO presentsでえれ〜!! Vol.3
2024年7月6日(土)岡山 YEBISU YA PRO
出演:tofubeats(ライブ)/長谷川白紙

unBALANCED
2024年7月6日(土)岡山 YEBISU YA PRO
出演:tofubeats(DJ)/CE$/TETSUO/GAKKY/saki/TANSHO/カワイタスク

理由
2024年7月20日(土)宮城・仙台 CLUB SHAFT
​出演:tofubeats(DJ)/sewashi/re0n/zak sato/flatrick/ryuu
VJ:GIN/Renimiu

SLENDERIE RECORD 10th ANNIVERSARY MUSIC AWARD 2024
2024年7月27日(土)東京・有楽町 ヒューリックホール東京
出演:tofubeats/藤井隆/早見優/椿鬼奴/レイザーラモンRG/後藤輝基/川島明 ほか
バンド:冨田謙(キーボード)/奥田健介(ギター)/小松シゲル(ドラムス)/南條レオ(ベース)

 


PROFILE: tofubeats

神戸出身の音楽プロデューサー/DJ。学生時代から様々なアーティストのプロデュースや楽曲提供、楽曲のリミックスを行う。2013年4月に“水星 feat. オノマトペ大臣”を収録した自主制作アルバム『lost decade』を発売。同年11月には森高千里をゲストボーカルに迎えた“Don’t Stop The Music”でワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル、unBORDEからメジャーデビュー。2014年10月にメジャー1stアルバム『First Album』をリリースし、以降もコンスタントに作品を発表している。2022年5月には約4年ぶりとなるニューアルバム『REFLECTION』と初の書籍「トーフビーツの難聴日記」を同時に発表した。2022年11月3日に『REFLECTION』のLP盤および『REFLECTION REMIXES』を配信リリース。2023年1月にはUKのDJ QとのコラボEP『A440』もリリースし、国内外でも注目を集めている。
オフィシャルサイト:https://www.tofubeats.com/
オフィシャルサイト(ワーナーミュージック・ジャパン):https://wmg.jp/tofubeats/
X:https://x.com/tofubeats/
Instagram:http://www.instagram.com/tofubeats/
YouTube:https://www.youtube.com/user/tofubeats
HIHATT オフィシャルサイト:https://hihatt.com/

 

PROFILE: Kotetsu Shoichiro

ミュージシャン(トラックメイカー/DJ)。90年生まれ、香川県出身。ダンスミュージック全般を手がけ、ラッパーやゲーム音楽、CMなどに楽曲提供の実績多数。2021年にはラッパー・T-STONEへの提供曲“Let’s Get Eat”がBillboard JAPANのTikTok Weekly Top 20で1位を獲得。また2022年にはtofubeatsのアルバム『REFLECTION』収録の“Vibration feat. Kotetsu Shoichiro”へラップで客演し話題を呼んだ。ライター/インタビュアーとしてはミュージック・マガジン、Quick Japan、CINRA、関西ソーカルなど数々の媒体に寄稿。ほか、さとうもか“Lukewarm”“Loop”をはじめ他アーティストのMVなど映像/アニメーションの編集も手がけるなどジャンル/形式に囚われない幅広いスタイルで活動をおこなっている。
オフィシャルサイト:https://kotetsu-shoichiro.com/
X:https://twitter.com/y0kotetsu
Instagram:https://www.instagram.com/y0kotetsu/
YouTube:https://www.youtube.com/@y0kotetsu