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今回の隠れテーマは夏だね

――2曲目“触れる唇”はリード曲。まさに夏!って感じの曲ですね。というか、この曲に限らず、EP全体に夏感がある。

「そうですね。作り始めた頃に、〈今回の隠れテーマは夏だね〉って確かに言ってました。“触れる唇”はそれを象徴する1曲になったと思います」

――サウンドもキラキラしていて、後半で3管が入るところでさらに華やかさが増す。

「3管アレンジのところは私もすごく気に入っています。あと、パン!ってクラップを鳴らすところは、ライブでみなさんにやってもらえたら嬉しい」

――こういった〈ひと夏の恋〉を歌った曲は、昔の歌謡曲なんかによくあったけど、最近はあんまりなかったかも。

「自分でもこういう歌詞を書いたのは初めてでした。いつもはけっこう思い詰めて書いちゃうんですけど、夏の曲だし、ラクに書いてみようと思って。そうしたら聴く人も楽しくなれるんじゃないかと。

キスの流れで相手の瞳のなかに潜り込んで、その瞳の内側から自分を見るっていう、ちょっと気持ち悪いことを思いついて(笑)、〈気持ち悪い歌詞を思いついたんだけど、どうしよう?〉ってXにもポストしたんですけど、けっこう楽しんで書くことができましたね」

――〈予定狂わせてばっかのこの夏〉とか、歌詞に遊びがあるのがいい。

「ボーカルも、いつもはめっちゃ練習してからレコーディングに臨むんですけど、この曲は〈練習しないで来てください〉と松下さんに言われて、本当に練習しないで行きました。〈とびっきり/だらしなくて/予定狂わせてばっかのこの夏〉と歌詞にあるので、いい意味でだらしなく歌うことを意識したんです」

 

傷ついた記憶を忘れないまま歩いていくのも私らしいかな

――3曲目は“愛おしいままで”。3月に先行配信された曲ですが、ギター、ピアノ、ベース、ドラムと、いつものライブのミュージシャン全員と録っている。こうしてバンドで録った曲って、今までなかったですよね。

「初めてです。そもそもいつもは生ドラムじゃなかったから。この曲はアコースティックサウンドで進んでいくんですけど、途中のある部分だけ生ドラムとグランドピアノを入れたいって話になって、そのためだけにスタジオをとってみんなに来てもらったり。そうやってみんなで録れたことは思い出深いですね」

――初めに聴いたときは中盤のループ部分が印象的だったけど、聴き返すうちにアコースティックサウンドが耳に残るようになってきて。なかなか凝ったアレンジですよね。

「ふふふ。シメシメ(笑)」

――あ、そこが狙いだったと。

「はい。初めにラウヴの曲からインスパイアされてループ部分ができて歌詞も書き始めていたんですけど、松下さんと話して、1番があって2番があってという構成じゃなく、曲が進むうちにどんどんエネルギーが高まっていく感じをやってみようってことになったんです。アコースティックギターから始まって、途中でビートが混ざって、だんだんと壮大になる。そういうサウンドに挑戦してみたかった」

――歌詞はどういったところから?

「傷ついた記憶ってなかなか消えないけど、無理に忘れなくてもいいんじゃないかって思ったときがあって。忘れないままで歩いていくのも私らしいかな、みたいな。むしろそういう記憶が愛しいとさえ思えてきたときに、〈忘れないままで/愛おしいままで〉って書いてみたんです」

――傷ついたり悩んだり逡巡したりして、最終的に吹っ切って前に進もうと決意する。これもそうだけど、XinUさんにはそういう歌が多いですよね。

「私がそういう人なんですよね。どんどん内に向かっていって、あるときふっと我に返って、〈吹っ切らなきゃ!〉って思って一歩進むっていう。こうじゃない進み方って、どうすればできるんですかね?」

――ははは。まあ、多かれ少なかれ、人はみんなそういうところがあるかもしれない。

「そうですよね。私がこういう人間なので、聴いた人が〈あ、この人もそうなんだ?!〉って思って少しでも気持ちがラクになってくれたらいいんですけど」