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雨に打たれても輝いちゃおう

――続いて6曲目は“余裕綽々”。ブラジリアンフレイバーを感じさせる涼し気な曲。トラックとプロデュースがedblで、メロディとコーラスアレンジを“罠”同様、タウラ・ラムさんが手掛けています。

「“罠”もそうでしたけど、edblトラックにタウラメロディが乗ると最高にかっこいいんですよ。タウラが英語で歌っているデモがもうかっこよすぎて、これは絶対に自分で歌いたいという気持ちと、タウラのデモを果たして自分が超えられるだろうかという気持ちの両方が初めは入り混じっていました。

それで、とりあえずタウラさんの英語詞をしっかり聴いて、そこから思い浮かんだ日本語を歌詞にしてみようと思って。それをしているときに、〈よ・ゆう・しゃく・しゃく〉って言葉がメロディと合って出てきた。

2番の歌詞は、さっきの“Clap! Clap!”の話にも出てきたシンガーの友達との会話から書いたもので、アーティストとしての振る舞いを期待されたり中途半端なプレッシャーを背負わされたりして面倒くさくなるときもあるけど、でもそんなことで挫けないで、余裕綽々で闊歩していこうよ、みたいな。雨に打たれても、逆に輝いちゃおうっていう気持ちになって、それを書きました」

――歌入れはスムーズにいきましたか?

「タウラさんがコーラスアレンジのアイデアをいっぱい入れてくれたんですけど、その種類が多かったからどういうふうにしたら一番かっこよくなるかを試行錯誤して。気づいたらボーカルトラックが100以上になってて。3日間くらいかかっちゃいました」

――余裕綽々ってわけにはいかなかったと。

「全然(笑)。アップアップしながらやってました。でも絶対にかっこよく歌いたいという執念で、諦めずに」

 

今の私の悩みや思いを飾らずに出したい

――7曲目は“ただ見つめ合っても”。これ、僕は一番好きですよ。

「おおっ、嬉しい!!   私も一番好きです」

――メロウで、シンプルで。素直なメロディのよさが際立っている。武藤勇樹さんのピアノがすごくいいですよね。

「グランドピアノを弾いてもらいました。ノラ・ジョーンズ的な雰囲気で」

――確かにノラの1stアルバム(2002年作『Come Away With Me』)に通じる柔らかなピアノとR&B的なギターリフの合わさり具合が絶妙で。

「最初はギターの庄司さんといつものセッションみたいに作っていて、〈こんなリフはどうですか?〉って庄司さんが言って弾いてくれたのがイントロのあのリフなんです。

で、これは絶対にいいものに完成させたい!って思って、松下さんが〈メロディは僕に任せてください〉と言って、そのあと細かく計算されたメロディが松下さんから送られてきた。それを聴いた時点で私も鼻歌っぽく歌っていて」

――XinUさんの歌声のとりわけ魅力的なところがここに詰まっているという印象です。無理せずメロディの流れに素直に歌っているというか。

「“罠”とか“いつのまにか”とか、けっこう高音域で歌う曲が続いていたので、低音域が活かせる曲にしたかったんです。それを実現できた曲になったし、話すような感じで無理なく歌えましたね」

――歌詞はどんなことを考えて書いたんですか?

「今の私を素直に出したい、30歳前後の世代ならではの悩みとか思いとかを飾らずに出したいと思って書きました。自分への問いかけも含まれています。もう少し若いときは何も恐れずに飛び込んだりしていたけど、今はどうなのか、それができるのか、とか。やっぱりどこか臆病になっているところがあるんじゃないかとか。これを書いたときは、何かに対して予防線を張るような自分がいたりもしたので」

――それは仕事に関して?

「仕事でもプライベートでも、以前ほど思い切って飛び込んでいけない自分を感じていたんです。でも、これを書いたときと今の自分でまた少し違っているんですけど」

――〈そのままでこのままでいけばいい/って歌があっても/そうもいかないのが/大人なのか〉というフレーズがリアルですね。

「自分でも“Hora Hora”で〈ありのままでいられたら〉って書いているんですけど、でもなかなかそうもいかないよねって思っている自分もいて、どっちも本当のことで。それを素直に綴った日記みたいな曲ですね。でも最後は前向きに〈光の中のわたしに/またきっと会える〉というふうにしました」

――思いきっり前向きじゃなくて、少し前向き。少しの希望を持たせて終わりたかった。

「はい」