2024年、早くも半年が過ぎ去って、下半期に突入しました。日本を含む世界情勢は混沌としている反面、激動と激変のコロナ禍を経た音楽シーンは前向きな活気に満ちています。そんな今年の上半期を振り返るために、Mikikiはいつも寄稿してもらっている音楽ライター19名へTOWER RECORDS MUSICプレイリストの作成を依頼。〈2024年上半期ベスト邦楽ソング〉をテーマに選曲をお願いしました。〈2024年上半期の邦楽〉といっても多彩な結果が表れた19のプレイリスト、それぞれの異なる視点をお楽しみください(掲載は五十音順)。 *Mikiki編集部
国内ヒップホップ/R&BとエッジーなDIYポップ
selected by アボかど
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156635
ここ3年間くらいに何らかの形で関わったアーティストの曲は除外しています。1曲目に選んだ2人は、私の地元・新潟で活動するアーティストです。2000年代っぽいノリのブーンバップでストレートな良さがあります。それ以外のトピックとしては、R&B愛好会〈R&B Lovers Club〉を始めたこともあってR&Bやネオソウルの要素を感じるものに惹かれました。この中からベストを一曲選ぶとしたらS.A.R.です。また、ドラムンベースや2ステップといったUK文脈のダンスミュージックを取り入れた良曲が増えてきたように思います。ACE COOLやMON/KU、fōssaなどのエッジーなサウンドも印象的でした。
無題のプレイリスト
selected by imdkm
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156633
ユーモラスな詞に手数の多いトラック、パーカッションやフォーリーの使い方もたのしいirom“デッドライン症候群”は上半期最大のイヤーワームでした。生々しくざらついたファットなビートに加え、(((さらうんど)))での英語詞も経て言葉への向き合いかたがいっそう研ぎ澄まされているイルリメ“Ah To The Oh”はセルフリミックスも素晴らしい。シネマティックなサウンドメイクと展開が巧みなサ柄直生 & uamiのEP『おぼろのうた』はプレスリリースをお手伝いしたので入れるか迷ったのですが良すぎて我慢できずに入れました。あしからず。カタログの事情で入れられなかった曲もあるけれど概ね満足です。
揺れるとき、漂うとき、弾けるとき、想うとき
selected by 内本順一
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156482
2024年上半期に〈好きだな〉と思って繰り返し聴いた曲を並べました。テーマは設けず選んでいます。並べた20曲に共通項があるのかないのか、自分にもわかりません。どうして好きかを考えてみることはあるけれど、これ!といった答えは簡単には見つかりません。〈好き〉ってそういうものでしょ?! 〈救われた〉というほど大袈裟じゃなく。〈勇気をくれた〉とか〈寄り添ってくれた〉というのも照れくさい。〈気分がちょっとあがった〉とか〈癒された〉とか。そのくらいのこと。それで十分。それでも強いて共通項を探るなら、メロディのいい曲ってことかな。あとはテンポ感とか。余白があることとか。気持ちよく聴ける並びにすることにはしっかり拘りました。
東京生まれ。情報誌の編集を経た後、音楽ライターを始めてかれこれ30年ちょい。中学の頃に大好きだったアリスの復刻盤のライナーノーツを書けたのが今年上半期の嬉しかったこと。
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ジャパニーズ・インディ・フォーク2024
selected by 金子厚武
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156748
〈風が吹けば桶屋が儲かる〉とよく言いますが、僕の中では〈ウィルコが来日すれば日本のインディフォークが盛り上がる〉という仮説がありまして、実際今年の上半期は豊作だったように思います。なので、そんな選曲でまとめてみました。
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタビューやライティングを手がける。「ポストロック・ディスク・ガイド」(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス〈FRIENDSHIP.〉キュレーター。
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ポジティブの秘訣
selected by 北野 創
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156716
特にテーマを設けず、今年前半に出会った素敵な楽曲を選びました。改めてプレイリスト化して聴いてみたらめっちゃ自分の癖(へき)が出ていて気恥ずかしいですが、どこか切なかったり、ハッピーだったりしながらも、総じてポジティブになれる楽曲が並んでいると思います。なかでも言葉の魔術師・森雪之丞が作詞した“ハッピーの秘訣”は〈ヤなことばかりの時代〉にこそ聴いて欲しい!
2024上半期女性ヴォーカル傑作選+1
selected by 桑原シロー
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156750
この半年間にお耳にかかった曲のなかから、シンプルにわが心をとらえた名曲をピックアップしてみた。柴田聡子の最新作『Your Favorite Things』は、下半期になっても何ら変わらない味と鮮度でわが鼓膜を悦ばせてくれることだろう。リイシュー関連では、待望の山川恵津子作品集2種の登場に歓喜。ちあきなおみのサブスク解禁にも快哉を叫んだ。海外アーティストだが、日本人の血統をひいているということで、ブルックリンの才女、メイ・シモネスの楽曲も混ぜさせてもらう。プラス1は、性別括りを外させてもらって、ここ最近でいちばんの胸騒ぎをくれた札幌の高校生バンドのあの曲を入れさせてもらった。ジェイムス・チャンス追悼の意も少しばかり込めて。
ポップ・ラップ・ダンス2024(中間報告)
selected by Kotetsu Shoichiro
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156480
どのアーティストも最高ですが、田中喉笛交響楽団、MFS~Tha Jointz、Die, No Ties, Flyは本人はもちろんその周りのシーンやネットワーク含め、下半期以降も面白いことをしてくれそうな気がします。12、13はアイドル~TikTokヒッツから1曲ずつ、最後2曲は今年から配信解禁のリイシュー的な枠で、かつYMOメモリアルな感じで。シーンや時代性みたいなものは見えづらいですが“全方向美少女”しかり“可愛くてごめん”“うっせぇわ”など近年のネット発のヤング向けのポップスに共通するのは〈他人から「他人の目を気にしないアタシ」として見られたい〉という欲望かな~などと思っております。
突出した個の才能
selected by 柴 那典
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000157068
ポップスとしての大衆性というのは、すでに知っている感覚をなぞるようなわかりやすさや共感ではなく、ゾクゾクするような新しい刺激をもたらしてくれるものだと思っています。オーバーグラウンドで活躍するアーティストからここから飛躍しそうなニューカマーまで、そういう観点で選んだプレイリストになりました。ジャンルやスタイルを超えて、2024年上半期、リズム、メロディ、言葉にひらめきを感じた楽曲を集めています。
浮遊する日本のインディーポップ
selected by 柴崎祐二
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156675
この20年近く、〈インディー〉音楽が面白くなかった時代などないが、それでも、ここ最近の日本のインディーミュージックの充実ぶりは、特に注目すべきものだ。10年位以上のキャリアを持つアーティストたちが充実の新作を発表する中、新世代のアーティストも続々と登場しつつある。おぼろげながらに共通するムードは、〈浮遊〉。かつてはクリシェのごとく溢れたこの言葉が、時代との共鳴の中で、いよいよリアリティを増しつつある。ポプティミズムの自己増殖があらゆる領域を押し流す今こそ、そこかしこに湧き出る〈インディー〉の音に耳を傾けたい。
美しく激情の世界へと誘うハード&ヘヴィな佳曲群
selected by 土屋京輔
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156749
ハード&ヘヴィなサウンドを軸とするアーティストの中から、それぞれの個性を自身の様式美において巧みに構築している楽曲をセレクト。特に惹きつけられているのがLIV MOONの“You Live in Me”。親愛なる誰かが次の世界へ旅立ってしまった悲しい経験を持つ人にはぜひ耳を傾けて欲しい屈指の名曲。lynch.の“REMAINS”は彼らの美学を象徴。首振りDollsの“みちづれ”は昭和歌謡を現代に映し出すマテリアル。日本という出自を確実に音楽的パーソナリティとして昇華したRYUJINの“Raijin and Fujin”はバンドの新たなスタートを宣言するもの。HAGANEの“天下五剣”も新章の始まりを高らかに告げる。
ヒリヒリする20曲
selected by つやちゃん
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156677
メジャーからアンダーグラウンドまで、ヒリヒリと痺れる曲たちを集めました。音楽は当然あるもの、という弛緩した価値観ではなく、音楽にある種の緊張感を持って向きあっている作品ばかりです。結果的に、リズムやテクスチャやムードなど、何か一つは飛びぬけて尖っている曲が揃いました。音楽家の方々に、リスペクトを捧げます!
2024年上半期のSongbook
selected by 土佐有明
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156717
月に15冊、修行僧のように本を読む生活もはや3年目。それだけに今回の企画、音楽とじっくり向き合うよい機会となりました。特に、アルバム単位でしか音楽を捉えなくなってからだいぶ経つので、楽曲単位でプレイリストをつくるのは新鮮でもあり、いろいろ発見がありました。順不同ですが、締め切り日に届いたCorneliusと折坂悠太の新譜はやはりずば抜けていましたね。音源ではないですが、君島大空(合奏形態)、カーネーション、world’s end girlfriendのライブも忘れ難いものがありました。新人では窓辺リカがイチオシ。2024年後半も、いい音楽に出逢えますように。
ブチギレのエネルギー
selected by 蜂須賀ちなみ
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156676
怒りが旧時代的な感情とされるようになった世界が舞台の村田沙耶香の短編「変容」を年始に読んだこと、朝ドラ「虎に翼」を4月から毎朝観ていることが選曲に影響している気がします。価値観をアップデートすることと、自分の人格が無自覚に標準化されること。2つの境界の判定は困難だと実感する日々の中で、音や詞の〈動き〉にきらめきを感じた曲を選びました。どんな時代でも、自分の真意は偽らずにいたいですね。その上で様々な人が存在することを忘れずにいたい。2024年上半期の傑作といえば北村蕗のEP『500mm』ですが、他曲との接続が上手くいかず、今回は入れられなかったこともここに記しておきます。
歌声とトラックの両方に耳が喜ぶ夏
selected by 原田和典
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156636
ますます邦楽ボーカル楽曲の〈歌以外の音〉に関心が増すようになってきたなあ、と、自分の(ほんの少しであるかもしれないが)変化に気づいた半年間だった。歌もトラックも極上であればそれに越したことはないし、日本語の歌詞が個性的な肉声によってがっつり届けられて、楽器の音が立っていれば、聴き手の耳は喜び倍増に決まっている。そうした意味でこの10曲は私をとことん喜ばせた。
2024年ニューポップ特異点、今聴きたい20曲
selected by ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156881
ストリーミング普及の結果、人類の歴史上最もたくさんの音楽を楽しめる現在。選曲基準は、希望を感じられる新しい視点を持つ才能。特異点=2024年を映し出す鏡のようなポップミュージックをセレクト。愛のライフソングを歌い紡ぐ名誉伝説、フジロック〈RED MARQUEE〉出演で勢いにのるBillyrrom、超絶ドラマティックなチョーキューメイ、輝きのポップネスを解き放つレトロリロン、ロックに尖り続けるブランデー戦記など、心地よい曲順にて並べてみました。日本生まれの音楽が世界で発見される新時代。メロディアスで、映像の浮かぶ深みある物語展開、音像のふくよかさなど、独創性高い作品をお楽しみあれ!
音楽コンシェルジュ。Yahoo!ニュース エキスパート、Spotify、J-WAVE、Fm yokohama、ROCKIN’ ON JAPAN、ミュージック・マガジン、リアルサウンドなどで書いたり喋ったり選曲家(プレイリスター)してます。TM NETWORK、布袋寅泰のツアーパンフなども執筆。
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2024年前半の耳模様
selected by 松永良平
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156751
「虎に翼」を毎日見ているので、純粋に聴いた回数だけでいうと“さよーならまたいつか!”がダントツの1位ということになりますが、すずめのティアーズ、鈴木真海子、柴田聡子、角銅真実もかなり聴いてます。Mei SemonesはJ-POPアーティストではないかもしれませんが、日本語ポップスの拡張とはこういうこと。ぜひ聴いてほしいです。
2024上半期ベスト(順不同)
selected by 最込舜一
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156879
ベストを1枚選べと言われたら柴田聡子『Your Favorite Things』で決まり。十分な信頼とキャリアのある人が果敢に新境地を開拓する勇姿に心打たれ、「まだまだこれから」と言ったワンマン追加公演でさらに感動。キャリアの総決算という点で言えば、日本のヒップホップ史上初となる東京ドーム公演をもって解散したBAD HOPは忘れられない。再始動で言えばSuchmosのYONCE率いるHedigan’sには良い意味で枯れた魅力があってハマりました。噂のyokosquad周辺のラッパー、JuggrixhSentanaのEPは最もヘビロテした1枚です。何かが終わっても何かが始まるのが世の常ですね。
生活を豊かに、未来に希望を
selected by 森 朋之
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156481
ヤバい自己啓発系みたいなタイトルに引かれると困るなあと思うのだけど、どんどん上がっていく物価、まったく上がらない給料(&原稿料)でジワジワと締め付けられる感覚が強まっている昨今、生活を少しでも豊かにして、この先の未来を少しでも肯定的に捉えるためにやっぱり音楽は必要不可欠(と信じたい)。というわけで、刹那的、痛み止め的な楽しさだけではなく、聴いているときの気持ちよさを感じさせつつ、思考や行動を促すような効果がある楽曲をセレクトしました。静かにはじまり、徐々にアッパー系に移行し、みんなで(心のなかで)一緒に歌って大団円な音楽のトリップを楽しんでいただけると幸いです。
ビューティフル・ドリーマー
selected by 和田信一郎(s.h.i.)
https://music.tower.jp/playlist/detail/2000156882
惹かれた曲をプレイリストとしての流れが良いように並べたら、中盤は〈2024年ならではのシューゲイザー解釈とその広がり〉みたいになった。他はビートや歌謡性の深化/発展という感じ。相通ずる部分がありつつサウンドは各々異なるので、続けて聴くと気付かされることが多かった。個人単位でもバンド単位でも優れた新鋭が多数出てきているし、活動歴の長いアーティストも見事な新境地を切り拓いている。音楽が面白くなり続ける時代に立ち会えて幸いです。
「現代メタルガイドブック」監修・主筆。各種Web・紙媒体に寄稿。直近では「ユリイカ2024年8月臨時増刊号 総特集=折坂悠太」や「ヘドバン スピンオフ13」(いずれも7月刊行)に参加。
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