歌丸師匠の代打として演じられた「竹の水仙」。これが見事なホームラン!といっても言い過ぎではないできばえでさっそくCD化されました。左甚五郎などいわゆる匠ものは、その人物像があまりに浮世離れした人として描かれ過ぎると、聴き手は冷めてしまいます。その点花緑師匠の甚五郎は、ごく普通の人として描かれていて無理がありません。そして、出てきたのが甚五郎の宿屋の亭主へのあの言葉なのだと。カップリングは「ニ階ぞめき」。師匠ならではのぼんぼん気質を最大限に生かしつつ、それだけではなく現代に吉原を投影する時代感覚の見事さが聴きどころです。これは聴いておかないともったいない!

柳家花緑が出演したネット番組〈ラクゴなう #5〉のアーカイヴ映像