
GOTA、Sleeping Walkers、PACHILA、P!SCOが出演した2日目
2日目には、全日程の中で最も多い4バンドが出演しました。1組目は、2022年の〈The Next Big Thing〉に選出されたGOTA。P!SCOやfernoiz(蕨鳴子)のベーシストであるOmOi(張憶文)がベース&ボーカルを務めるバンドです。
冒頭からギターをかき鳴らし、ノイジーな即興演奏でオーディエンスを一気に引き込みました。1曲目の“沒有夢的生活賺了錢也沒用”では、OmOiの鋭いベースが炸裂し、クランチーなカッティングギターとリードギターが絡み合い、マスロック、ファンク、ポップが渾然一体となった独創的な音楽が展開されます。OmOiのクールで感情を抑えた歌声は、楽曲の世界観をより一層強固なものにしていると感じました。
楽曲ごとに異なる表情を見せるのもGOTAの魅力です。5曲目に披露された“把我的快樂還來”は、OmOiの捲し立てるようなラップボーカルにフリーキーな演奏が絡み、アバンギャルドなパフォーマンスでした。サビは、「お腹が空いた」「食べたくない?」といった日本語を交えた歌詞がユーモラス。最後に披露された“練習平靜”は、ストレートなギターポップ/ネオアコで、幸福感に満ちた締めくくりとなりました。

2組目は、抒情的で壮大な世界観が魅力のSleeping Walkers(夢遊旅人)。このバンドの魅力は、ボーカリストであるキング・チャン(張鈞皓)の声です。透き通るような声で、張り上げた時にはL’Arc~en~Cielのhydeを彷彿とさせる一方、低音域で静かに歌ってもセクシーさを保っており、表現の幅が非常に広い。音源と変わらない高い歌唱力を披露しました。
また、ワイルドなロックにピアノやストリングスの音色が加わることで、上品な雰囲気が漂っているのも魅力です。ベーシストのFunFunTwo(張煒堃)は、初日に出演したNUTSでもベースを担当。ジャンルが異なる2バンドでの活動について、FunFunTwoはライブ後のインタビューで「NUTSの音楽性は好みですが、Sleeping Walkersでは自分の表現をより自由に発揮できる」と語っていました。台湾では1人のミュージシャンが複数のバンドを掛け持ちすることが多く、こうした多様性がクリエイティブな面でもプラスに働いていると感じます。

3組目はエモーショナルなポップロックを奏でるバンド、PACHILA(帕崎拉)。ボーカルのJimmy(黃俊閔)はモデルとしても活動している整った顔立ちでありながら、野性味あふれるざらついた歌声で驚かされました。
バンドの演奏には一体感があり、アンサンブルも非常にタイトで、体に響く重低音が心地よい。パンクやパワーポップを取り入れた王道のミクスチャーロックで、アンセム的な要素も強く、観客が一緒に歌いやすい楽曲が多いのも魅力です。さらなる成功を収めた暁には、スタジアムのような大規模なステージで聴いてみたいバンドだと感じました。
ギタリストの小龍(許晉維)は、バッキングからソロまで全てを1人でこなし、音作りのクールさと技術の高さに目が釘付けに。MCでJimmyは「緊張している」と語っていましたが、演奏中は「Come closer(もっと近くに)!」と観客に呼びかけ、情熱が緊張を上回り、強い意気込みが伝わってきました。
また、PACHILAは台湾語、中国語、英語を織り交ぜた歌詞が特徴。ライブ後のインタビューでJimmyは「できる限り台湾語の曲を作り、みんなに台湾語で歌ってもらいたい」と語っていたのが印象的でした。

4組目は、キャッチーなダンスロックサウンドが魅力のP!SCO。オーディエンスとの一体感を重視したパフォーマンスに定評があり、台湾でも高い人気を誇るバンドです。
冒頭でギタリストのレイチェルが「言葉や国、文化が違っても、音楽を愛する気持ちは変わりません」と語ると会場から歓声が上がり、演奏前から熱気が一気に高まります。ボーカルのCatLunは、全身を使ったジェスチャーを交えたエネルギッシュなパフォーマンスを見せつつ、その透明感のある儚げな声が魅力的。カリスマ性のあるCatLunに劣らず、レイチェルも存在感を発揮していました。髪を乱しながらギターを弾き、ステージ前まで進み出る姿は圧巻です。
2曲目“日常用品”が終わると、P!SCOのメンバーは観客に「頑張って! 我愛你!」と呼びかけ、“甘巴爹!我愛你!”を演奏。観客は興奮し、曲の終盤で一部のファンが輪になって踊り出すほど。さらにレイチェルが「最も大切なのはNO MUSIC, NO LIFE!」と叫び、タワレコへのリスペクトを表明。続けて“最害怕的是有一天會不見”のイントロが始まると、CatLunがシャボン玉を吹くサプライズがあり、演出にも余念がない様子が印象的でした。
最後に“Penguin Disco”を演奏し、集合写真を撮る予定でしたが、観客からアンコールの声が湧き上がり、“甘巴爹!我愛你!”を再度演奏。P!SCOの実力が存分に発揮されたライブであり、日本のフェスでも見たいと思わせる内容でした。