
fernoiz、Head Composer、GGteensが出演した最終日
〈台湾音市 Vol.1〉は最終日を迎えました。1組目は、今年のStreetVoice Awardsで〈トップ10新人ミュージシャン〉に選ばれたfernoiz(蕨鳴子)。ドラマーのWHOJ(彭胡傑)による力強いキックと、褚P(褚士銘)によるリズミカルなギタープレイから、1曲目“入秋的晚上”の演奏が始まりました。そこにベーシスト、OmOiのキレのあるベースと、ボーカリスト、モンティン(孟庭)のギターストローク、そしてチャーミングな声が重なることで生まれるアンサンブルは非常に個性的。各々の存在感が強いメンバーが、ギリギリの妥協点を探っているような緊張感があります。
2曲目の“向陽”の演奏が終わり、MCでモンが「一緒に歌いましょう」と観客に呼びかけ、3曲目の“中間”のコーラスの練習を実施。“中間”はコーラスが美しく、歌うパートも単音で、観客が気軽に参加でき、楽しい時間となりました。
fernoizの魅力は、楽曲の多彩さにあります。パンキッシュで攻撃的な楽曲やドリームポップ、大味なギターポップまで、ボーカル・ギター・ベース・ドラムという編成で表現の限界に挑んでいるかのようなクリエイティブな野心に感心させられました。

2組目はサイケデリックストーナーロックバンド、Head Composer(頭部組成者)。ボーカルがほとんど入らないインストゥルメンタルで、ダークな世界観も含めて、今回の出演者の中では明らかに異彩を放っていました。ベーシスト、レオ・チャン(張郁霖)を中心に据え、両脇をギタリストが固めるというフォーメーションも面白い。
Head Composerの魅力は静と動のコントラストです。1曲目の“一念無明”は、ディレイやリバーブなどの空間系ギターエフェクトを駆使した楽曲で、瞑想的な世界を描きます。打って変わって、2曲目の“羅剎海市”は大音量のディストーションギターに切り替わり、一気に熱気が高まりました。“羅剎海市”をよく聴くと、緻密な構成に感心します。静かで抒情的な展開があったり、ジミ・ヘンドリックスを彷彿とさせるワウペダル全開のギターソロが繰り出されたり、リフが何パターンも用意されていたりと、リスナーを飽きさせない工夫が感じられました。そして、それはHead Composerが演奏した全ての曲に言えること。とりわけ最後に披露された“生育叢林”は圧巻で、ブルージーでヘビーなリフにはストーナーロックの代表的バンド、カイアスに通じるスピリットを感じます。
ギタリストのYEN PO YEN(顏伯晏)は、大学で日本語学科を専攻し、卒業後は日本の専門学校に通った経験があるため、日本語が堪能。演奏後のインタビューでは、「私は内向的な性格で、言葉が苦手なので、音楽で言いたいことを伝えます」と話していました。実際、MCも少なく、〈言いたいことは全て楽曲にある〉とでも言わんばかりの硬派さに好感を持ちました。

最終日のトリを飾るのは、若さと多様性をテーマとするZ世代のポップロックバンド、GGteens。今年、リリースした1stアルバム『我其實一點都不酷』(私は実は全然かっこよくない)の制作時にはクラウドファンディングで100万元を集め、台北Legacyでの初単独公演では1,000枚のチケットをソールドアウトさせるなど大注目の若手です。
GGteensはアダム・リャオ(廖于任)とルーシー・ルー(盧彥恩)のダブルボーカル体制を採用しており、交互にリードボーカルを務めたり、ユニゾンになったり、ハーモニーを重ねたりする息の合ったデュエットが魅力。1曲目に披露された“偶超級宇宙無敵霹靂愛尼”は、冒頭からアダムとルーシーの美しいハーモニーが響き渡り、アダムのアコースティックギターがバンドサウンドにみずみずしさを添えていることに気付かされました。若さを感じさせながらも、すでに貫禄十分で、メンバーの技術の高さが際立っています。さらに、全員で左右にステップを踏みながら動きを揃えるなど、余裕すら感じさせるパフォーマンスでした。
6曲目の“星星”を演奏する前、アダムはMCで「大学時代、何度もコンペに出場しては敗退していました。〈バンドは星の数ほどあり、覚えてもらうのは本当に難しい〉と感じた経験をもとに書いた曲です」と、楽曲に込めた想いを語りました。その説明があったことで、歌詞がわからなくても、意味を想像することができ、深い音楽体験となりました。しかし、GGteensの楽曲はメロディー、アレンジ、構成のどれを取っても非常に洗練されており、歌詞の意味やコンテキストを理解できなくても十分に楽しめます。今後は台湾だけでなく、世界で活躍するポテンシャルを秘めたバンドだと感じました。