ありそうでなかった夢のコラボ・アルバム。アレサ・フランクリン使いの太くソウルフルなビートに、J・ディラからオバマまで粋なネームドロップ満載のリリックが載る冒頭の“Dreamin’”からいきなり両者の〈らしさ〉が出まくり、ベストな相性を魅せる。サンプリング主体によるトラックは90年代に出ていたとしても古典化していたであろう古式ゆかしいヴァイブだが、コモンのクリアなフロウは不思議とモダンな響きを伴っている。あの時期を知っている/いないにかかわらず、この黄金のコンビネーションに何かを感じずにはいられないだろう。〈Keep on〉と連呼してVol. 2を期待させるアウトロまで、完璧な一作だ。
コモン&ピート・ロック(Common & Pete Rock)『The Auditorium Vol. 1』モダンな響きを伴うフロウとサンプリング主体のトラック、両者の〈らしさ〉が出まくった完璧な一作
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