本作は女性監督による史上3作目のカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞し、数々の映画祭で賞を獲得した傑作。隔絶された雪山の山荘で父親が不審な転落死を遂げる。一緒に住んでいたのは、ベストセラー作家の母親と視覚障がい者の息子と犬のみ。母親に殺人の容疑が向けられる中で、夫婦の関係が明らかになっていく。ミステリー映画の体裁を取りながらも、よく練られた脚本と巧みな演出によって、事実の不確かさ、多言語によるコミュニケーションの困難、考え方の違いによる齟齬などによって真実が見えにくいものとなっている。それを象徴するのが、視覚障がい者の主人公の息子なのだろう。犬の名前がスヌープなのが個人的に笑ってしまった。
映画「落下の解剖学」パルム・ドールなど多数受賞した傑作 ミステリーの体裁で見えにくい真実を映す巧みな脚本と演出
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映画/映像