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私は健やかな天邪鬼

――その間に水野良樹さんによる“まぶしい”が収録されています。

「“まぶしい”もすごく好きです。歌詞がとても暗いんですよね。水野さんから〈曲を作るにあたってキーワードを提出してほしい〉と連絡をいただいて、それで短い文章を書いてお送りしたら曲に昇華してくださいました。

以前、水野さんには“夜明けをくちずさめたら”という曲を書いていただいことがあって、今回はそれと対をなすようなイメージの曲を書いていただけたらとお願いしました。〈夜〉に対しては〈日向〉と〈影〉という言葉、〈くちずさむ〉に対しては〈踊る〉という言葉を出しました。〈日向があれば影もあるけど、踊るように生きていけたらいいな〉というような思いを込めた文章をお送りしたら、“まぶしい”の歌詞を送ってくださって。〈私が書いていない部分まで埋めてくださっていてすごい!〉と感動しました」

――この曲もサウンドとしてはウキウキするようなポップスですよね。

「そうですね。歌詞に書かれているような暗い感情であっても、軽やかに進んでいける気持ちになりました。いきものがかりさんの曲にも爽やかさの中に刺してくるフレーズや影があるフレーズが入ってくる曲が多くあって、ネガポジの魅力を感じます。“まぶしい”はネガの部分を引き延ばして書いてくださった気がして、往年のいきものがかかりファンとしはたまらない経験になりました。(吉岡)聖恵さんの声で聞きたいなと思いました(笑)」

――今おっしゃった軽やかさというのは『kibi』の随所から感じる要素でした。“まぶしい”に〈大人だもの/晴れたら 平気です〉という歌詞がありますが、ネガティビィティや重さを持っていたとしても、大人だからこそ軽やかに受け止めて生きていくことができるというか。

「健やかな天邪鬼というか。私はドキュメンタリーを見るのが好きなんですが、つらい思いをしている人ほど、それがなんでもないことのように話す印象があるんです。“まぶしい”はそういう傷ついたり悩んだりしている人特有の、ふんぎりやたくましさみたいなものが色濃く出ている曲だと思います。

アルバム全体を通して前向きな諦めが漂っているように感じていて、意識したわけではないのですが、完成した後に向き合ってみると私はそうやって生きているところがあるのかなと思いました」

――諦めることで荷物が軽くなって晴れやかになることもあると思うんですが、そういう境地だったりするんでしょうか?

「考え抜いてやることはやり尽くしたけど、結局どうしようもなかったからという諦めです。それでも心に残ってしまうものはあるんですが、そういう荷物のおろし方を示すような言葉に救われたりもします」