〈一旦バカになれ〉と言われて腑に落ちた
――“skip”は山本加津彦さんと歌詞を共作された曲ですが、〈「あたりまえ」〉の外と中という選択肢を示すことで救われる人が多いのではないかと思いました。
「定められたルールや固定観念が鬱陶しい時もあれば、お守りになる時もありますよね。常に型破りな人間である必要もなく、状況に応じて枠を出たり入ったりしていいものなのかなと思っていて。反復横跳びのように行き来していい、ということを書いたつもりです」
――上白石さん自身も心が進まない時や壁を越えられない時はそういう風に解決するんですか?
「お芝居の現場で壁を全然越えられない時、先輩に〈一旦バカになれ〉と言われて腑に落ちたことがあったんです。今はいろいろなものを捨てなきゃいけない時なんだなと思うこともあれば、基礎を思い出してうまくいくこともある。どちらも大事だなと思います」
――“skip”のサウンドはモータウンのテイストが色濃いですが、どういうイメージがあったんでしょう?
「ブラックミュージックは怒りや反発から生まれた音楽で、その背景も含めて惹かれます。この曲で描かれているスキップは、楽しくてやっているというより、悲しい時に無理やり笑ったり弾んだりしてみるような類のスキップで。スキップには〈飛ばす〉という意味もあるので、無理やり押していくような曲になったんじゃないかと思います」
――最初に曲を聞いた時はどう思いましたか?
「まず歌うのが難しそうだなと思いました(笑)。でも歌ってみたらとても楽しくなれる自分がいて。すでにコンサートでも歌っていますが、お客さんもすごく楽しそうにしていて、この曲で描かれているような気持ちをみんなで楽しむというのはまさに自分がやりたかったことだと思います」
――“hiker”の歌詞もところどころコンプレックスやネガティブな気持ちが描かれていますよね。
「すごくへこんでいる時に書いた歌詞なんです。曲調的に暗いことを書いても外に向かっていける曲だと思ったので思い切りました」
――落ち込んでいる時に作詞に向き合うエネルギーが湧いてきたりするんですか?
「詞はつらい時に書きます。締め切りが近づいてくると気分が落ち込んでいくという自然な流れもあるんですが(笑)。そうなるといろいろとネガティブな気持ちが糸で引っ張られるように湧き出てくるんです。詞を書くからこそ向き合えることも多いと思うので、書いている時はしんどくても書き終わるとすごく嬉しい気持ちになります」