その先に未来がある
それら新曲群の合間に“Runaway World”以降の既発曲も配しながら、アルバムはいよいよラストの2曲――歌と共に生きるtowanaの人生観が滲んだような“風になって”と、ストリングスを伴った室内楽的なワルツ“waltz for lily”へ。全12曲から成る物語は〈Life〉の意味合いを〈日常〉〈生活〉から〈人生〉〈生命〉へとスライドさせていく。
佐藤「“風になって”の仮タイトルは〈バンド〉でした(笑)。『ぼっち・ざ・ろっく!』の曲みたいなものをイメージして、ギターのレコーディングのときはHoneyWorksの中西さんにthe band apartの曲を参考に送ったりしました。作詞はtowanaなんですけど、すごく良くて。ベースにはいつもらしい孤独感がありつつ、後半では死生観まで達しててこれはすごいぞと。最後の“waltz for lily”と近しい世界観を感じたので、こうやって2曲を並べたインデックスになりました」
towana「ここでは〈私なりのLook of Life〉を書いてみようと。すごく明るくて爽やかな曲だけど、そこにちょっと切ない歌詞を乗せるっていうのをやってみたくて、あと〈軽やか〉もテーマだったかな。〈生まれて生きている理由/分からなくていいんだって/強いて言うなら/夕焼けが綺麗/風が気持ちいい/そんなところ〉って部分を最初に書いたんですけど、そういうことをこのタイミングのこのアルバムで書けてよかったなって思います。この間の先行試聴会で改めてじっくり聴いたら自然に涙が出てきて、もしかしたらいい歌詞が書けたのかもしれない、ってそこで初めて思いましたね」
佐藤「“waltz for lily”はフルサイズを作ったらうっかり壮大になっちゃって。こういう3拍子、8分の6拍子の曲でのストリングス・アレンジって何をやったらいいかわからなくて(笑)、完成まで苦労しました。そういうサウンドなので、歌詞もこの曲だけは俯瞰の視点で神様への祈りみたいな感じがいいかなと。『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(87年)っていうアニメーション映画があるんですけど、林君にはそのラストのシークエンスのような感じで歌詞を書いてくださいって伝えました。現在を生きる人々だけじゃなくて、過去にこの土地や街で紡がれてきた生活や文化、歴史みたいなもの……生まれて死んでを繰り返す流れの同一線上に自分たちがいて、その先に未来がある。そのすべての人たちに祝福があらんことを、みたいな祈り――“waltz for lily”はそういう曲ですね」
今回は収録された12曲すべてのMVも制作。それも全曲に等しく鮮やかな彩りを与えられたという自信があるからこそだろう。
towana「いい曲しか入ってない。単純に好きなアルバムが出来た嬉しさがあります」
kevin「メジャー・デビューから10年以上やってきたなかで、ファンの皆さんがfhánaに持ってるイメージからいい意味で逸脱した、変化を楽しんでもらえるアルバムになったんじゃないかと思いますね」
佐藤「fhánaがこれまでに積み重ねてきたこと、楽曲提供も含めて外で経験させてもらったこともちゃんと今回の新曲にフィードバックされて、いい形で結実できてよかったなあと。メンバーそれぞれの個性もちゃんと出てるし、ほんとに〈fhána〉っていう感じのアルバムが出来たなって思いますね」
参加ミュージシャンの関連作を一部紹介。
左から、HoneyWorksの2023年作『ねぇ、好きって痛いよ。~告白実行委員会キャラクターソング集~』(MusicRay'n)、インナージャーニーのニューEP『はごろも』(鶴見river)、XIIXの2023年作『XIIX』(トイズファクトリー)
fhánaの近作を紹介。
左から、2022年作『Cipher』、10周年記念ベスト盤『There Is The Light』(共にLantis)、2023年のシングル“Runaway World”、同年のEP『Beautiful Dreamer』(共にコロムビア)