新たな体制と新たな環境で物語は続く。話題作のタイアップとなった移籍第1弾のニュー・シングルは、前を向いて新世界へ進む3人の強い意志に溢れている!
新しい物語が始まる
昨年は結成からの10年を記録した4作目『Cipher』を発表。その後は同作のツアーも無事に開幕し、4人の物語の続きに向けて歩みを進めたかと思いきや……11月にはギタリストであるyuxuki wagaの脱退を、今年1月にはレーベルの移籍を告知。驚きの動きを見せてきたfhánaが、ニュー・シングル『Runaway World』をリリースする。その新章は、当初の予定より早いタイミングで訪れたのだという。
佐藤純一「ここ数年、wagaさんのなかでは〈バンドとして表に立つより、プロデュースといった裏方の仕事に向かいたい〉って気持ちが強まっていたようで。それで去年の夏頃に改めて話をして、卒業という流れになりました。レーベルの移籍は、TVアニメ『逃走中 グレートミッション』のお話をいただいたことで予定より半年ほど早くなって。年末年始は泣きながら(笑)シングルを作ってましたね」
その「逃走中 グレートミッション」は、19年の歴史があるバラエティ番組「run for money 逃走中」を元に、SF/アクション/人間ドラマなど多ジャンルが盛り込まれた完全オリジナルのTVアニメ。そのオープニング曲“Runaway World”は、高速移動するスピード感と縦横無尽の躍動感を音像化したようなバンド・サウンドと、華やかなストリングスと呼応して唸りを上げる中西(HoneyWorks)のギター、強い意志をもって疾駆するtowanaの歌声がスリリングな切迫感とパノラミックな開放感をもたらすアップ・チューンだ。加えて、日曜朝の放送枠――子ども/家族向けのアニメとのタイアップという、fhánaにとって初の試みに挑んだ曲でもある。
佐藤「アニメの制作サイドからは〈疾走感と緩急のある曲〉っていうオーダーをいただいたんですけど、これまででいちばんリテイクが多かったです。主な方向性としては明るく爽やかなもの。ただ、バトル要素もある作品なので、ハンターが追いかけてくる脅威や緊迫感、〈絶対生き抜いてみせる〉っていう強い気持ちをもっと入れてほしいってことでこの形になったんですけど、それが結果的にfhánaとしての新しさにも繋がったので、良かったなと思って。fhánaのロックっぽい曲だと“divine intervention”や“ワンダーステラ”とかマイナー調のものはあったけど、 こういうアメリカン・ロックみたい……っていうのかな? “Runaway World”みたいな質感/進行のものってなかったと思うんです。林(英樹)くんにお願いした歌詞は、『逃走中』の作品テーマに寄せながらも、ファンの方々に〈これからfhánaの新しい物語が始まるんだよ〉ってことを伝えたくて。2サビの〈Translation〉は〈変化〉って意味で、この曲のひとつのキーワード。〈冒険の始まり〉とか〈新世界〉もそうですね。いままでのfhánaは〈旅〉という言葉をよく使ってきたんですけど、ここから先はもう旅じゃなく〈冒険〉なんですよ、と。冒険って危険もあるじゃないですか。ここ数年は世界全体で想像外の変化があったし、誰もが冒険しなきゃいけない時代を生きてるんじゃないかなって。〈fhánaと一緒にこの世界を冒険しよう〉みたいな、そんな思いも込められています」
towana「〈私たちは前を見て進んでいくよ〉って意志を表したかったので、この曲はデビュー前からお世話になってるボイトレの先生のもとでみっちり練習したうえで歌入れして。“Runaway World”は力強くて疾走感もある曲だけど、ここは抜かないといけないとか、緩急の付け方を細かく、それこそ一字一句のレベルで教えてもらって勉強になりました」