東京都現代美術館で開催中の個展〈坂本龍一|音を視る 時を聴く〉(会期:2024年12月21日~2025年3月30日)に連日多くの観客が訪れるなど、2023年の逝去後も数多くの人々へ影響を与え続けている坂本龍一。2024年は、新たにリマスタリングを施した過去作品のリリースや最後のピアノソロ演奏を記録したコンサートフィルム「Ryuichi Sakamoto | Opus」の上映など、さまざまなジャンルで坂本の功績や軌跡を振り返る動きを目にした。
そんななか、出版業界でも彼に関連する本が数多く刊行されている。そこで今回は、坂本龍一に関する書籍や雑誌の一部を紹介。該当作品のタワーレコード オンラインの商品ページのリンクもあわせて掲載しているので、ぜひ役立ててほしい。
まず、今後発売が予定されているものではYMO関連の書籍やインタビューを数多く手掛けてきた吉村栄一による「坂本龍一最後のプレイリスト」が、2月20日(木)に登場。同書では、伝説のラジオ番組「サウンドストリート」などで坂本自身がセレクトした楽曲を紹介し、彼がどんな音楽を愛したのかを紐解いていく。ジョン・ケージやフィリップ・グラス、シュトックハウゼン、クラフトワーク、ジャパンといった面々に加えて、スライ&ザ・ファミリー・ストーンやスクリッティ・ポリッティ、加藤登紀子なども取り上げられるそう。教授ファンだけでなく、音楽ファン必見の一冊になりそうだ。
また、刊行されて日が浅いものでは、坂本が監修した「コモンズ:スコラ 音楽の学校」シリーズ最終巻となった「vol.18 ピアノへの旅」の構成とデザインを新たにして単行本として出版した「ピアノへの旅」や、「キーボード・マガジン」「サウンド&レコーディング・マガジン」に掲載された坂本のインタビューと連載を1冊にまとめた「インタビュー:坂本龍一」がいずれも2024年12月に発売されたばかり。
坂本龍一特集が組まれた雑誌だと、「男の隠れ家」では主な作品の系譜をはじめ彼が愛した店や食、宿など、「MONO MAGAZINE」では生前使用していた楽器や機材から、私生活における愛用品に至るあらゆるmono(モノ)までをエピソードとともに紹介するという、各誌ならではの切り口が興味深い。「BRUTUS」では、坂本を敬愛する岡村靖幸が2025年開業予定の坂本の新スタジオを訪れた様子や、全9ページに及ぶ圧巻の大年表、マドンナやサンダーキャットらへのインタビューなどがまとめられている。
加えて、他界した2023年には「ユリイカ」や「別冊ele-king」などで追悼号が発刊された。70年代からさまざまな形で書面に登場した「ミュージック・マガジン」の増刊「坂本龍一 本当に聴きたい音を追い求めて」では当時の記事が復刻され、自身のインタビューをはじめ、鈴木慶一との対談(1978年12月号)やクラフトワークについて語ったもの(1979年11月号)などが収録されるなど、専門誌ならではの〈アーカイブ力〉が圧巻だ。