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3人がそれぞれのアイデアを自由にぶつけあえる

――以降ライブを重ね、『Tides of Blue』で聴かれる、3者が語り合っているような自由な音楽に至ったのですね。誰かの強い指示のもとで演奏するのではなくて、車座になって音を出しているような……。

須川崇志「このトリオの音楽は初めから〈リーダーのビジョンのもとに音楽を作っていく〉というスタンスではありませんでした。すみれちゃんが実現したい音楽をふたりが支えるという感じではなく、〈こうやってみるのはどうだろう?〉〈こうやっても大丈夫だな〉と、3人がそれぞれのアイデアを自由にぶつけあえるシチュエーションだったんです。だから僕も〈ボトムを支えるベース奏者として〉というよりは、〈須川崇志としてどういうアプローチができるか、すべきか〉という感じでプレイしています」

――楽曲は栗林さんと藤本さんが提供なさっています。もともとボーカルソングだったという“Let Me...”のメロディが、作者の藤本さん自身のギターで聴けるのも嬉しいです。

藤本「インストゥルメンタルでこの曲を演奏したいなと思っていたときに、ちょうどこの3人でライブをすることが決まって、〈絶対に合うな〉と思って曲を持っていきました。すみれちゃんが宮古島に旅してきた帰りというタイミングだったので、“Let Me...”の歌詞も人だけでなく自然への想いも綴られていて、何かつながっているような気がしたこともあって」

――ボーカルバージョンの持っていた歌心が、そのままギターの音色に置き換えられている感じです。曲作りの秘訣はありますか?

藤本「曲を作り始めるときは、なるべく楽器を持たないようにしています。やっぱり指板とかに縛られたくないですから。といっても最終的にはギターで少しずつアレンジや構成をしていくんですが、まずはメロディ優先で作ります。

今回、このメンバーで演奏してみて、新しいものが見えた感じです。すみれちゃんがユニゾンで入ってくるところの広がり、崇志くんが全体の空気を操るように演奏してくれるところ、そこは本当に素晴らしい。細かいアレンジは決めていなかったのに、ストーリーやシーンが浮かんでくるような感覚でした」

 

3つの流れがひとつになって大海に注ぐ

――栗林さんは、藤本さんや須川さんへあて書きした曲もご用意なさったそうですね。

栗林「“Tides of Blue”や“The Ways to Come Back Home Again”は特にそうです。ふたりのリーダー作品を何回も聴きこんで、〈あ、このフレーズ、メッチャきれい!〉〈このイントロ大好き!〉みたいなものが私のからだの中にいっぱい入った後に書きました。私はそういった要素を詰め込んだだけですけど、それをふたりがすごくカッコよくしてくれて」

――“Tides of Blue”はアルバムのタイトルにもなっていますが、この曲名はとても想像力をかきたてるフレーズです。

栗林「これは須川さんが考えてくれました。タイトルチューンを書いているときに“波のように揺らぐ青”みたいなイメージがどこかにあって、仮で“Wavering Blue”と名付けていたんですが、それを須川さんがブラッシュアップしてくれたんです」

須川「〈Tide〉は〈潮〉のこと。すみれちゃんの元のイメージに加えて、このユニットに対する彼女の印象を聞くと、〈3つの潮の流れ=波動がひとつになって大海に注ぐ〉みたいな意味合いを感じたので、そこから発想しました」

栗林「出来上がった音源を聴くと、〈それぞれ異なる3つの青が折り重なって、大きなひとつの青に見える〉というイメージが浮かんできたし、平野さんがその意味とイメージをそのままヴィジアル化した素敵なジャケットを作ってくれて。このタイトルにしてほんとうに良かったと思っています」