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〈Hedigan’sの普通〉ができたアルバム

――『Chance』はEP『2000JPY』に続く2作目ですが、演奏やテリーさんとの録音、プロダクションの面で変わったことはありますか?

YONCE「開けた曲が増えました。僕が詞を書いて弾き語りしたものを粉々にしていく感じで作ったのが『2000JPY』だったんですけど、今回は自分の詞に将治や祐輔が曲をつけてくれたり、〈せーの〉で演奏して肉体的な要素を増やしてみたり。変化としては、開かれた作り方をした空気の作品になったということですね」

将治「前作の制作では、どういうバンドなのか、どういうものを作るのか、誰もわかっていなかったんです。けど今回は、ライブをたくさんやって各々の持ち味やかっこいい部分がわかってきたから、まずはそれを自然にやってみるところからスタートして。

録音の仕方も、EPの時は遠回りしすぎていたから(笑)。テリーもEPの時は大変だったと思う。作ったものを剥がしたり壊したりして、作って壊してを繰り返してたから」

YONCE「今回は、曲の輪郭が見えているところから〈何を着せてあげよう?〉〈どういう色にしてあげよう?〉と考えた時間が長かったかな。バンドのスタイルが見えてきたからスムーズでしたね」

大内「ただ、Studio Digに一定期間みんなを閉じ込めて作ることとか、変わっていない部分も多いんじゃないかな」

将治「まったくちがうやり方をしてもおもしろそうだしね。今回はいちばん素直でシンプルな作り方をしたのかな」

YONCE「〈Hedigan’sの普通〉みたいなことができたアルバムかも。大喜利的にお題に打ち返すやり方も楽しいだろうし、何でもありだね。宅録的なEPと合奏が増えたアルバムとで好対照だけど、どっちが優れているわけでもないから、両方できることを見てもらえるいい2枚になった気がする」

 

プロデューサー不在でもバラバラにならないチームワーク

――ロックバンドとしてのラフさを大切にされているように感じますが、録音作品に定着させるのは難しくないですか?

YONCE「むしろプロユースな質感やクオリティの録りや演奏って、俺らにはできないことなんですね。〈ロックバンド然としていなきゃ〉〈このやり方ならロックバンドっぽくなる〉みたいなことは意識していなかったというか。単純に得意なことをやっただけですね」

将治「一生懸命やっただけで、ラフなものを作ろうぜ!というテンションでもなかった」

大内「もちろんガチで演奏しているからね(笑)。ただ録り方やクリックを出すかどうか、楽器の組み方はしっかりと決めて。9割まで作り上げたあと残り1割の仕上げに時間をかけたり、そういう場面はありましたね」

将治「YONCEの歌のパワーがとにかくすごくて一回バーッと歌ってたら、いいじゃん!と素直に思っちゃうんですよね。そういう意味でラフだったかもしれない。ギターも何回も弾き直すことはしていないし」

YONCE「歌も楽器もあまり追い込みすぎていないね」

大内「スタジオワークで特筆すべきなのは、祐輔と本村のいいテイクを選ぶ力がすさまじくて。客観的に見て〈ここがこう光っている〉というのを見つけるのが得意なんですね。特に祐輔の歌のテイク選びは神がかっていました」

祐輔「自分で自分のよさってわからないんですよね。YONCEの歌のすごさはYONCEより俺の方がわかっているし、岳のドラムや将治のギターもそう。

そもそも演奏力や説得力があるから、こういうやり方でもグダグダにならず、プロデューサーがいなくてもバラバラにならずまとめられるんです。締め切りを守って形になっているのは、そういう力があるからだと思います」

大内「チームワークですね」