ここではきのこ帝国の新作の背景にあるアーティストや作品を、佐藤の発言をもとに紹介していこう。まず、“東京”という楽曲が生まれた背景には、同世代のバンドが“東京”という名曲を次々に生み出していたことが刺激となっている。レーベルメイトのpaioniaや踊ってばかりの国、少し前なら、もちろん、くるりの“東京”なども、意識のなかにはあったはず。
そして、メロディーメイカーという意味では、佐藤はもともと日本のシンガー・ソングライター作品を聴いて育ち、宇多田ヒカル、鬼束ちひろ、山崎まさよしなどが好きだったそう。また、兄の影響でダニー・ハサウェイやアリシア・キーズといったR&Bやソウルのシンガーにも憧れ、〈黒人音楽こそが至高〉と考えた時期もあったそうだ。また、新世代で挙げるなら、エグみのある歌詞に惹かれるというロードや、日本のヒットチャートを徹底的に研究しているというソングライター、アカシックの奥脇達也のファンとのこと。雑多なセレクトと言えるだろうが、ここからは、やはり骨格にあたるメロディーと歌の重要性が見えてくる。
▼関連作品
左から、paioniaの2013年作『rutsubo』(DAIZAWA)、ダニー・ハサウェイの72年のライヴ盤『Live』(Atco)、宇多田ヒカルの99年作の15周年記念盤『First Love -15th Anniversary Edition-』(ユニバーサル)、ロードの2013年作『Pure Heroine』(Universal)、アカシックの2014年のミニ・アルバム『プリチー』(COCONOE)
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