“春と修羅”(2013年)の歌詞で〈猫が鳴いてた〉とはいえ、メジャーからのファースト・アルバムがピンクの猫ジャケなのは驚きだし、鍵盤&ストリングスの映える壮大かつ豊かなサウンドが響くタイトル曲も新味だ。狂気を孕んだ轟音も残すなか、佐藤千亜妃の声はより毅然と繊細さを表現するようになり、強さと優しさを湛えた恋の歌が並ぶ。聴き手の心にさまざまな感情を駆け巡らせる音楽であることは変わらない。