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再評価の次は学園アニメでバトル!?

――では最後に、リバイバルでシティポップファンになったリスナーやフュージョン全盛期を知らない若い世代に向けて、フュージョンを聴く際のポイントを伝えるとしたら?

栗本「単純に、聴いていて気持ちいい音楽です。ジャズの発展形なのでテクニック重視で難しいとか、一方でスーパーのBGMっぽいとか、そういうネガティブなイメージがなくもないですが、『CROSSOVER CITY』でセレクトした楽曲は、フュージョンに対する固定観念抜きに聴くとただただ気持ちいいんですよ。

それに高中さんが顕著ですが、海の写真などリゾート感のあるジャケットが多いですよね。あるいは都会のクールさを強調した、摩天楼が聳え立つ画とか。ビジュアルと連動したイメージ演出を伴った音楽なので、その雰囲気をそのまま実用的に楽しんでもらえたらと。その点はシティポップと同じですね。難しく考えず、このコンピさえあればシティポップ感覚でフュージョンを気持ちよく聴けるはずです」

柴崎「そうですね。別の視点を加えるなら、King GnuやOfficial髭男dism、藤井 風さんなどジャズやソウルの要素を取り入れた複雑で高度な音楽をやるJ-POP系のアーティストがいま多いじゃないですか。そういう楽理的にもテクニック的にも高度なポップスの中には、ジャパニーズフュージョンのイディオムとか美意識が伏流していると思うんです。単純な楽器演奏面の類似というより、コード、ハーモニー、リズム、アレンジなどの構築法の継承という意味で。なので、現代の音楽のルーツとして聴いてみても面白いんじゃないかなと。もっと先鋭的な音楽の場合でも、例えば長谷川白紙さんを好きな人がPRISMを改めて聴いてみるとか、そういう視点があってもいいと思う。

批評性を奉じるうるさ型の音楽ファンからは、長いことフュージョンって真面目に取り合わなくていいものとされてきたイメージがありますが、そうやって意識的に聴いてみるのも面白いと思います」

栗本「あと楽器を聴く、楽器の面白さを体現する音楽なので、アンサンブルが凝っているんです。アレンジやサウンドが好きな人は楽しめると思いますね。海外のフュージョンと聴き比べても日本のフュージョンは丁寧できめ細かく作られていますし、職人芸的な音楽としても興味深い。当時は日本の音楽は洋楽より下に見られていましたが、実際はそんなことはまったくないし、むしろ日本の音楽の緻密さがよくわかります。シティポップが評価されているのもそういうところでしょうし。ミュージシャンもめちゃくちゃ上手いですよ」

柴崎「今の時代に自分がアニメのプロデューサーをやっていたら、『響け!ユーフォニアム』みたいな学園フュージョンアニメを作ると思う(笑)。フュージョンリアルタイム世代も若い世代も楽しめそうだし、テクニカルな音楽なのでスポ根要素も入れられますから。フュージョンを題材にした一大ビルドゥングスロマンができますよ!」

栗本「面白い! その企画、制作会社に持って行ってください(笑)」

――古くは「けいおん!」がありますが、最近は「BanG Dream!(バンドリ!)」などガールズバンドのゲームやアニメは多いですからね。そのフュージョン版をやると(笑)。

柴崎「ここまで話してきた通りオタク的な文化とも相性がいいですし。この記事を読んだアニメ関係者はアイデアを使っていいですよ(笑)」

栗本「フュージョンならバトルもできますからね。指や唇から血を流しながら楽器を弾いたり(笑)。そうなると速弾き系フュージョンが持て囃されるようになるだろうから、それはそれでまた面白くなりますよね。フュージョンの新しいスターが生まれるかもしれないし、『CROSSOVER CITY』とはまったくベクトルの違う新しいコンピが作れそうだし(笑)」

――「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」のMCバトルの楽器版ですね(笑)。

柴崎「そう。フュージョンにはあらゆる要素があるんです。ロックらしいロックは廃れたと言われつつ、エントリー用の安価なギターは根強く売れ続けているので、今フュージョンアニメが作られたらもう一度楽器演奏の大きな入り口になるかもしれませんね」

 


RELEASE INFORMATION

VARIOUS ARTISTS 『CROSSOVER CITY -Asayake-』 Sony Music Direct(2025)

■CD
リリース日:2025年5月21日(水)
品番:MHCL-31074
価格:3,300円(税込)

■LP
リリース日:2025年8月2日(土)
品番:MHJL-427
価格:4,950

TRACKLIST
1. On The Move/深町 純(1978)
2. Asayake/CASIOPEA(1982)
3. Space Kid/大野雄二(1978)
4. カクトウギのテーマ/坂本龍一 & カクトウギ・セッション(1979)
5. Hank & Cliff/THE SQUARE(1983)
6. Yumedono/大村憲司(1978)
7. Charcoal Break/NANIWA EXPRESS(1984)
8. A Seagull & Clouds/菊池ひみこ(1987)
9. Pastel Color/村松 健(1983)
10. Key Breeze/日野皓正(1983)
11. Poppy’s Walk/香津美・アンド・ジェントル・ソウツ(1978)
12. Sapajou Walk/佐藤允彦(1979)
13. Silver Drape/鳥山雄司(1988)
14. Avenue/堀井勝美PROJECT(1987)
15. With All Beautiful Love/THE PLAYERS(1981)

 

VARIOUS ARTISTS 『CROSSOVER CITY -Bon Voyage-』 キング(2025)

■CD
リリース日:2025年5月21日(水)
品番:KICJ-876
価格:3,000円(税込)

■LP
リリース日:2025年8月2日(土)
品番:KIJJ-90017
価格:4,800円(税込)

TRACKLIST
1. Green Vestige/沢井原兒 & Bacon Egg(1981)
2. Corner Top/清水信之(1980)
3. Opa! Com Deus/本多俊之(1979)
4. Mellow Around/宮の上貴昭(1980)
5. Bon Voyage/村岡 建 & His New Group(1978)
6. Blue Funk/森園勝敏 with Bird’s Eye View(1980)
7. In The Sky/大野俊三(1979)
8. Papaya Source/兼崎順一(1982)
9. No If’s No Buts/八木正生(1979)
10. Song For Georgie/益田幹夫(1979)
11. Ain’t Nothing But “G"/清水靖晃(1979)
12. Flamingo Street/RIGHT STAFF(1985)
13. (I’m Still) Believing In Dreams/増尾好秋(1979)
14. Lady/増尾元章(1982)
15. Seagull/HANG RAIJI(1983)

 

VARIOUS ARTISTS 『CROSSOVER CITY -Mint Breeze-』 ユニバーサル(2025)

■CD
リリース日:2025年5月21日(水)
品番:UICZ-8241
価格:3,000円(税込)

TRACKLIST
1. Palm St./小林泉美(1981)
2. Brasilian Skies/高中正義(1978)
3. Caribbean Super Green/CARIOCA(1981)
4. Yeh! Boogie/杉本喜代志(1978)
5. Walk Downtown/ジョン・海山・ネプチューン(1980)
6. Batik Pasar/本多俊之(1982)
7. Mint Breeze/今田勝 NOWIN(1984)
8. Be Yourself/LOGIC SYSTEM(1981)
9. Dream Of Dream/柏木玲子(1984)
10. Anyway/NORIKI(1983)
11. Chico/野口五郎(1982)
12. Manhattan Skyline/宮野弘紀(1981)
13. カーチェイス/井上堯之(1979)
14. Daybreak/NATIVE SON(1985)

 

VARIOUS ARTISTS 『CROSSOVER CITY -Misty Morning-』 ビクター(2025)

■CD
リリース日:2025年5月21日(水)
品番:VICL-66069
価格:3,000円(税込)

TRACKLIST
1. Send Me Your Feelings/日野皓正(1979)
2. Virginity/響野夏子(1986)
3. Misty Morning/奥 慶一(1981)
4. Hunt Up Wind/福村 博(1978)
5. Merci Baku/タイガー大越(1981)
6. Walkin’ In The City/益田幹夫(1982)
7. Down East/渡辺貞夫(1979)
8. Ballerina/松原正樹(1979)
9. Transparency/野呂一生(1985)
10. Aqua Blue/KANGAROO(1983)
11. Morning Flight/MALTA(1985)
12. Shining Guitar/秋山一将(1978)
13. Starlite Melody/鈴木 茂(1979)
14. Southern Dream/You & Explosion Band(1983)
15. 赤い道が走る国/八木のぶお(1979)

 

VARIOUS ARTISTS 『CROSSOVER CITY -Park Avenue-』 コロムビア(2025)

■CD
リリース日:2025年5月21日(水)
品番:COCB-54379
価格:3,000円(税込)

■LP
リリース日:2025年8月2日(土)
品番:COJY-9541
価格:4,620円(税込)

TRACKLIST
1. Park Avenue/渡辺香津美 with Manhattan Blaze(1978)
2. Hip Cruiser/向井滋春(1979)
3. Flying Easy/上田力とパワー・ステーション(1980)
4. The Island Skyline/杉本喜代志(1981)
5. Memory Lane/ソウル・メディア(1980)
6. Out Of Focus/鈴木宏昌(1976)
7. Lena/荒川バンド(1980)
8. Still Love You/Spick & Span(1979)
9. 熱い友情/土岐英史 & TEMPS(1985)
10. Midnight Whisper/野田ユカ(1989)
11. West Beach Drive/鈴木 茂(1987)
12. Gypsy Moon/朝本千可(1988)
13. Good Morning Birds/Zoom(1982)
14. Living In A City/大徳俊幸(1981)

 

■タワレコ特典(CDのみ)
先着:ステッカー(各ジャケ写絵柄)
※ご予約済みのお客様も対象となります
※商品ページで〈特典あり〉の記載がない場合は特典対象外となります
※複数枚を1回でご注文された場合、商品がすべて揃うまでに特典の保管期間(発売日より1か月)を経過すると、自動的に特典付与対象外となります
※特典の数には限りがございます。限定数満了次第、終了とさせていただきます
※タワーレコード店舗とオンラインでは特典の運用状況が異なる場合がございます。
店舗でのご購入で特典ご希望のお客様は、各店舗に運用状況をご確認ください

■応募抽選プレゼント施策
2025年5月21日発売の〈CROSSOVER CITY〉シリーズのコンピレーションCDおよび〈CROSSOVER CITY〉名盤復刻シリーズCDをお買い上げのお客様の中より、オリジナルTシャツを抽選で50名様にプレゼントいたします。なお、応募にはタワーレコードメンバーズへの登録が必要となります。

 


PROFILE: 栗本 斉

音楽と旅のライター、選曲家。1970年生まれ、大阪出身。レコード会社勤務時代より音楽ライターとして執筆活動を開始。退社後は2年間中南米を放浪し、帰国後はフリーランスで雑誌やウェブでの執筆、ラジオや機内放送の構成選曲などを行う。開業直後のビルボードライブで約5年間ブッキングマネージャーを務めた後、再びフリーランスで活動。著書に「ブエノスアイレス 雑貨と文化の旅手帖」(毎日コミュニケーションズ)、「アルゼンチン音楽手帖」(DU BOOKS)、共著に「喫茶ロック」(ソニー・マガジンズ)、「Light Mellow 和モノ Special」(ラトルズ)などがある。2022年2月に上梓した「「シティポップの基本」がこの100枚でわかる!」(星海社新書)が話題を呼び、各種メディアにも出演している。最新刊は2023年9月に発表した「「90年代J-POPの基本」がこの100枚でわかる!」(星海社新書)。

PROFILE: 柴崎祐二

1983年、埼玉県生まれ。評論家/音楽ディレクター。2006年よりレコード業界にてプロモーションや制作に携わり、多くのアーティストのA&Rを務める。単著に「ポップミュージックはリバイバルをくりかえす 「再文脈化」の音楽受容史」(イースト・プレス、2023年)、「ミュージック・ゴーズ・オン~最新音楽生活考」(ミュージック・マガジン、2021年)、編著書に「シティポップとは何か」(河出書房新社、2022年)などがある。