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ビートルズのカバーや“RYDEEN”のアレンジに驚かされたYMOのライブ

――台風の爪痕が譜面に残っているんですね。〈WORLD HAPPINESS〉といえば、トリでYMOのライブが見られるのも楽しみでした。1回目はHASYMOだったのが2回目からYMOになるというのも劇的です。ゴンドウさんはHASYMOの時から演奏に参加されていますがYMOとの共演はいかがでした?

ゴンドウ「ずっとファンだったので、一緒にやらせてもらえるなんて本当にありがたいことでした。ある時に“開け心-磁性紀-”をやりたいとリクエストしたら、それが通ってやることになったんですよ」

――それはすごい!

ゴンドウ「“磁性紀”が流れるカセットのCMが好きだったんですよ。それで〈やりたいです〉って言ったら〈よーし! やるか〉って新しいアレンジでやってくれて。演奏していてすごく楽しかったし、そのライブは思い出深いですね」

――〈WORLD HAPPINESS〉では、YMOは結構初期の曲を演奏していましたね。

ゴンドウ「それは多分、幸宏さんがやりたかったんじゃないでしょうか。幸宏さんはYMOが好きだったし、自分のフェスだったので」

――ちなみにリハーサルはどんな感じだったんですか? この3人が集まるだけでも大変だと思うのですが。

ゴンドウ「YMOになってからは結構ツアーに出ていましたけど、〈WORLD HAPPINESS〉の時は余裕がある感じでしたね。

ただ、リハーサルに入るまでが大変なんです。3人が集まると誰も声をかけられないというか、周りの空気がピリピリしてくるんです。なかなかライブでやる曲が決まらなくて、セットリストが出ても誰が譜面を用意するのかわからない。それで一応、僕が譜面を書いておくんですけど、それを教授が見て〈これ誰が書いたの? 全然違う!〉って怒るんです」

――うわー。大変ですね、

ゴンドウ「すごく厳しいんですよ。それで教授が何も見ないで、その場で五線譜に書き込んでいくんですけど、それがすごかったですね。曲が決まってリハが始まると楽なんですよ。あとは仕上げていくだけなんで」

――慶一さんは〈WORLD HAPPINESS〉でYMOのライブはご覧になっていました?

鈴木「YMOが出る頃には自分の出番が終わってるから必ず客席で見てたよ。びっくりしたのはビートルズの“Hello, Goodbye”をやったことだね。よりによって私がいちばん嫌いな曲をやりやがった(笑)」

ゴンドウ「えーっ、良い曲じゃないですか(笑)」

鈴木「完コピに近い感じだったね。ビートルズ以外で誰かが“Hello, Goodbye”を演奏するのを見たのは初めてだったし、意外な選曲でやられたよ」

――YMOの曲についてはどう思われました?

鈴木「あえて昔っぽくやる曲と完全に新しい音に塗り替えている曲があったけど、私は塗り替えられた曲の方が面白くて仕方なかった」

ゴンドウ「“RYDEEN”なんてそうでしたね。トイピアノを使ったりして」

鈴木「あれは驚いたな」

――細野さんや幸宏さんがお好きなエレクトロニカからの影響を感じさせますね。ムームとかラリ・プナとか。

ゴンドウ「そうですね。お2人がSKETCH SHOWをやっている時に一緒にムームのライブを見に行ったんですよ。そしたら、細野さんが感動しちゃって、ライブの後に楽屋まで行かれてましたね。どんな機材を使ってるんだろうって。幸宏さんは自分のアルバム(『Page By Page』)にラリ・プナを呼んで一緒にやっていたし」

鈴木「私が幸宏のベスト盤(『THE BEST OF YUKIHIRO TAKAHASHI [EMI YEARS 1988-2013]』)の選曲をしていた時、エレクトロニカ時代の2枚(『Blue Moon Blue』『Page By Page』)がすごく良かったんだよね。ずっとノイズがプチプチいってて」

――幸宏さんも細野さんも、自分たちが作り上げたテクノポップを若い世代のアーティストが新しい形で継承していることに喜びを感じていたみたいですね。

ゴンドウ「そうですね。そういう新しい音楽を自分たちの音楽に取り入れることを楽しんでいました」