川本真琴のニセラップ
――では次の曲にいきましょうか。
A2 “公園にて”
「これはけっこう前から自分で作った曲があって」
――大野志門(カブトムシ)さんとの共作になってるけど。
「そうそう、両方で作詞しました。大野さんの家の近所の公園で遊んでたときの歌なんです」
――曲も一緒に作ったんですね。
「歌はラップなんですけど、大野さんがメインでラップをやって。私は出来ないんで、ニセラップみたいな感じ。リズムに乗せて朗読する、みたいな」
――メロはちゃんとあるじゃないですか。
「そうですね。途中でちょっとファンタジックなメロディーも入れてみたりして」
――そこに、らしさが出てます。このメロが非常に決まってますよね。
「途中で〈♪we we we そら we we we アー we〉って造語を言ってるんですけど、それも面白かった。私、この曲好きですね」
――〈この曲、どうしよう?〉って悩んでたときに聴かせてくれましたよね。
「私のラップのところ、自信なかったんです」
――これはかなりいいから、絶対に入れるべきだと言ったんですよ。……次の曲、いきますか。
「あ、歌詞のことなんですけど」
――そうそう、川本さんのヴァースの〈朝起きたら熱が出た〉ってところ、面白いですよね。
「風邪を引いたとき、熱が出た後ってちょっと気分が良くなるじゃないですか、スッキリして」
――ああ、汗が出て、体の中の悪いものを出した感じで……。
「そんな感じしますよね。そのことを歌ってます」
――次、いきましょう。
「あと、関係ないんですけど、ちょうど沖縄に行った時だったんで、(2024年10月19日に沖縄・那覇Outputで開催された川本のワンマンライブ〈お花のジュース〉。植野と出演)那覇にANKHって好きな古着屋さんがあって、何回か行ったんですけど、そこのことを歌ってます。猫ちゃんがいるんですよね」
A3 “なちゅら”
――これは作曲がテライさん。どういう経緯でしたっけ?
「名古屋で一緒にライブやったんです(2023年6月12日に愛知・名古屋KDハポンで開催されたイルカポリス 海豚刑警とのツーマンライブ)」
――そのときの伴奏がテライさんのギターでしたね。
「はい、演奏してくれました。そのときに1曲、2人で作ってみようかっていう話になって」
――このライブで披露したんですね。
「はい、そうです。〈なちゅら〉は〈ナチュラル〉ですね。この言葉は、テライさんとはちょっと関係ないんですけど。佐内正史さんが、〈好きな言葉を歌詞に入れるといい〉って言っていて。〈ナチュラル〉って言葉、いいんじゃないかなって」
――歌詞が先に出来たんだ。
「そうです。それにテライさんが曲をつけてくれました」
――仕上がりもシンプルでよかった。
「ギターの録音は、椅子に座るときのガタガタっていう音とか、そういうアンビエンス音も入れてて」
――とてもいい録音でしたね。
「うん、すごいナチュラル」
――この感じ、アルバム全体に言えるんですよね。
「うんうん」
ギャルのメッカ新大久保からインスパイアされたギャルっぽいメロディー
A4 “君とフランベ”
――これは、松永天馬さんからオファーがあったんですよね?
「イベントは、そうです(2024年4月27日に東京・新宿ROCK CAFE LOFTで開催された〈話す、松永天馬~第二十五夜:話す、作詞術~〉)」
――ライブも何度かやりましたね。
「そこで、1曲作ろうって私が言ったんです。ちょっとギャルっぽいメロディーっていうか、松永さんにはそういうのが合うんじゃないかって思って。で、“なちゅら”とは全然違うギャルっぽい曲を提出したんですよ」
――えっと、ギャルって?
「松永さんたちと何人かで新大久保に行ったことがあって、あそこってギャルのメッカじゃないですか」
――それがメロディーになったと。
「わりとしっかり目に作ったんですよ」
――それに応えたような歌詞が面白いですね。
「松永さんが、けっこうシュールな歌詞をつけてきてくれて。女の子の可愛い部分を表現してるっていうか」
――トラックが、また巧いですよね。
「そうですね。高慶智行さんが作ってくれて、ギターとアレンジもしてくれました。そのイメージもけっこう大きいですね」
――イメージどおりのアレンジとトラックになったと。
「そう、面白くなりました。この前の曲の“なちゅら”もそうなんですけど、男の人と一緒に歌うっていうのが、意外と上手くいって。すごくいいハーモニー……って、自分で言うのもなんですけど」
――そうそう。デュエットが続きますが、全く違うタイプの曲で、ここの流れがとてもいいです。では、5曲目いきましょうか。
「すいません、今思い出したんですけど、3曲目のタイトル、〈ナチュラル〉が〈なちゅら〉になったのは、これまで何度かライブでギター弾いてくれた伊勢(啓太)さんが〈ナチュラル〉より〈ナチュラ〉の方がかわいいって言ってくれたからなんです」
――南ドイツ(Minami Deutsch)というバンドをやっている伊勢さんですね。では、5曲目。
A5 “Bonbon”
――この曲で共演したemily hashimotoさんとはライブをやったんですよね。
「オファーをいただきました」
――小田原でしたね(2024年10月13日に神奈川・LIVE HOUSE 小田原姿麗人で開催された〈雨粒ビバップtour〉)。
「Xで相互フォローになって、存在は知ってたんですけど。そのライブのために、せっかくだから一緒に曲を作ろうっていう話になって」
――この曲はもう……。
「自分の中では、けっこうスタンダードな感じっていうか」
――そうそう、典型的な川本メロディー。
「私が一番得意とする感じですね」
――でも、歌詞は川本さんにはないタイプで。
「emilyさんが可愛い歌詞を書いてくれたんですよ、フレンチな感じの」
――ベレー帽が似合う。
「トラックはemilyさんの知り合いの方が作ってくれました」
――この曲でA面を終えるのはいいですね。では〈PTO〉。
「〈PTO〉って?」
――〈Please turn over(カセットをひっくり返してください)〉。
「で、この曲はemilyさんにとってもいつもと違う曲になったみたいで、良かったです」
――自分でも歌いたいって言ってくれたんでしょ。
「新しく録音をすることになって、emilyさんのバンドバージョンで」
――川本さんも参加するんですか?
「私がボーカルです」