Photo by Ruriko Inagaki
ヴァンパイア・ウィークエンド、ハイムらが見せた堂々たるステージ
ヴァンパイア・ウィークエンドの前には、RED MARQUEEでザ・ハイヴスを鑑賞。中盤ぐらいまでしか見れなかったが、久々のフジロックだったこともありバンド側も高揚していたのか、開始からテンションのメーターが振り切れているかのような暴れっぷりだった。
2000年代以降、ロックシーンにおいて〈最高のフロントマン〉の称号を欲しいままにするハウリン・ペレ・アームクヴィストの歌声は、年々渋みと強度が増しており、そんなフロントマンに負けじと他のメンバーたちも出音から力強さがみなぎっている。離脱するギリギリで“Hate To Say I Told You So”を一緒に歌えたが、本音を言えば最後まで見ていたかった。

フジロック最終日のトリを務めたヴァンパイア・ウィークエンドは、エズラ・クーニグ、クリス・バイオ、クリス・トムソンのメンバー3人のみでの“Mansard Roof”から、すでにこれまでとは違うムードを漂わせていた。前回出演時は悪天候や機材トラブルなどが重なって完全燃焼とは言い切れないステージだったが、今回はそういったネガティブな要素は一切見当たらない。
Photo by Taio Konishi
“Ice Cream Piano”で背後にかかっていた巨大な垂れ幕が下ろされると、サックスやヴァイオリンなどのサポートメンバーを加えた完全体となって登場。バンドでのアンサンブルを堪能できる最新作『Only God Was Above Us』のナンバーが、所々ライブアレンジを加えて披露されていく。他のバンドにはない、彼らからしか得られない興奮があることを、見た人はきっとわかってくれるはずだ。
そうした最新曲の合間には、エズラが参加したサブトラクト“NEW DORP. NEW YORK.”のカバーもプレイ。と、ここでどうしてもハイムが見たかったのでヴァンパイア・ウィークエンドから離れる決断をする。この2組の出演時間が被ってしまうなんて……こうした悩みもまたフジロックの醍醐味の一つである。
5年ぶりの新作にして4作目となる『I quit』を引っ提げて来日したハイムは、フジロック出演は12年ぶり。12年前というと1stアルバム『Days Are Gone』のリリース前のタイミングだ。今回、アルバム4枚分にもおよぶ楽曲からどれが演奏されるのか興味津々だった。
Photo by Masanori Naruse
ダニエル、 アラナ、エスティがステージに登場した時点でその勇ましい姿に惚れ惚れとしてしまったが、2010年代の米インディーロックにおける一つの潮流を生んだ彼女たちの代表曲“The Wire”を早速披露してくれて、思わずガッツポーズ。また、“Don’t Wanna”ではアラナがパッドを、“The Steps”“Everybody’s Trying To Figure Me Out”などではダニエルがドラムを担当するなど、ヴルフペックにも負けないパートチェンジで観客たちを楽しませた。
気になる『I quit』からは若干キーを下げた“Relationships”のほか、ダニエルの圧巻のギターソロに興奮した“Blood On The Street”、シェリル・クロウやアラニス・モリセットあたりのカントリー音楽の系譜を継ぐ“Down To Be Wrong”などがプレイされた。新作を軸にしながらも〈quit〉をキーワードに、自らを縛ってきたあらゆる物事に見切りをつけ、よりよく人生を楽しもうとする彼女たちの強い意志が反映されたライブに見えた。
2025年のフジロックは大きな転換点となる年だったと、2、3年後に振りかえっているような気がする。今年は会場内を見渡していて、年季の入ったフジロッカーにまぎれて20代から30代ぐらいまでの若いオーディエンスもよく見かけた。彼らが何を目的に足を運んだかはわからないが、〈今年は現地でフジロックを見たい〉と決めた何かきっかけがあったのは確かだ。少なくとも、今年の出演ラインナップはその決断に大きな影響を与えたのではないだろうか。
今年、新たな道を開拓することに成功したフジロック。2026年の苗場でどんなドラマが生まれるか、また1年、楽しみに待っていたい。
TV INFORMATION
FUJI ROCK FESTIVAL ’25完全版
放送日時
DAY1:2025年9月13日(土)19:00~24:00
DAY2:2025年9月14日(日)19:00~24:00
DAY3:2025年9月15日(月)19:00~24:00
放送チャンネル:フジテレビNEXT ライブ・プレミアム/フジテレビNEXTsmart

