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驚異的なラウドネス、圧巻のメロディー

 また、“Some Might Say”の録音後に解雇されたトニー・マッキャロルに変わってドラマーとして加入したアラン・ホワイトは、スタイル・カウンシル時代からポール・ウェラーのバックを務めていたスティーヴ・ホワイトの実弟だ。ジャズやファンクを得意とする彼がバンドに強い影響をもたらすと共に、ウェラー自身も“Champagne Supernova”とアルバムのインタールードにギターやコーラス、ハーモニカで参加。ポール・ウェラーに象徴されるモッズ・カルチャーにも歩み寄りを見せ、ウェラー・ファミリーであるオーシャン・カラー・シーンの復活をバックアップしたことはオアシスの別側面を知るうえで特筆すべきトピックといえるだろう。

 しかし、過去の音楽遺産に大きなインスピレーションを得ながら、オアシスをオアシスたらしめているのは、プロデューサーのオーウェン・モリスと取り組んだ〈90年代のウォール・オブ・サウンド〉と評されるギター音響にある。作品をよりラウドに聴かせるために、限界まで音圧を稼ぐブリックウォール・マスタリングの手法を確立したこの作品は、その後の音楽産業を席巻するラウドネス戦争の先駆例としても上げられており、分厚い音の壁のなかで複数のギターが鳴っているサウンドの壮大さはオアシスの成功を世界レヴェルへと増幅させた。だが、その根幹を成すソングライティングの素晴らしさ/神髄に触れたければ、今回の30周年記念デラックス・エディションに新たなに収録された“Cast No Shadow”“Morning Glory”“Wonderwall”“Acquiesce”“Champagne Supernova”のアンプラグド・ヴァァージョンをぜひ聴いてみて欲しい。ノエル・ギャラガーとカラム・マリーニョのプロデュース/ミックスによってオリジナル音源から装飾を剥ぎ取った5曲は名アルバムの秘密を白日のもとに晒したものである。

 彼らは今年10月に16年ぶりとなる来日公演を行う。しかしながら、この先の活動において、オアシスがノスタルジーを越えた何かを鳴らすことも大いに期待したいところだ。

オアシスの作品。
左から、94年作の30周年記念盤『Definitely Maybe (30th Anniversary Deluxe Edition)』、ベスト盤『Time Flies... 1994-2009』(共にBig Brother)

左から、ジョン・レノンの71年作『Imagine』(Apple)、ポール・ウェラーの95年作『Stanley Road』(Go! Discs)