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精一杯のご挨拶

 いまだ〈MAGIC TIME〉の余韻冷めやらぬ様子の両者だが、路上育ちのふたりがさまざまな色のペンキを手にし、より大胆に筆を揮っているところが何よりも本作の魅力だと言っておきたい。見逃せない注目ポイントは、伊東がヴォーカルを重ねてコーラスを付けていること。ひょっとするとその部分に何よりの変化を感じるリスナーはいるかもしれない。

伊東「これまでずっとライヴ録音みたいにほぼ一発録りだったわけですが、歌の面では、ここはもっとグッと踏み込みたかった、もっと揺らしたかったな、って思ったこともあるっちゃあるわけですよ。で、今回は気が済むまで歌い込ませてもらって、自分の強みだと思っている歌い方を納得いくまで追求できたんです。以前と今回のどちらがT字路sっぽいか、って言われるとわからないけど、こだわってやらせていただいたことがすごく嬉しかった。これまでと変わんないよ、って言われるかもしれないけど、ここが私のかっこいいところなんだよ、って部分を出せたことがとにかく幸せで」

 最初に伊東が言った通り、こんなにも夢中になった跡がそのまま刻まれているアルバムもそうはない。T字路sの新しい軸が確かに見えた気にさせられる本作だが、近い未来にはまたアッと驚くような作品が届くかもしれない。ひとつお伝えできるのは、本作を引っ提げたツアーは4人編成のバンドで行われるということ。とにかく彼らのマジカルな時間はこの先も続いていきそうだと言っておこう。

篠田「次のこととか計算できないので、またふたりだけでやるかもしれないし。とにかく自分たちの持ち球でしか勝負できないですから。とにかく今回の作品は、現在の自分たちをしっかり提示した挨拶状になったと思います」

伊東「そう、精一杯のご挨拶だね」

参加ミュージシャンの関連盤を一部紹介。
左から、ピーター・ゴールウェイ&佐橋佳幸の2025年作『EN』(ヴィヴィド)、Dr.kyOnと佐橋によるDarjeelingの2019年作『8芯二葉~雪あかりBlend』(GEAEG)、古田たかしの在籍するANZAiFURUTAの2023年作『う~ゆばりあ』(Turfull Studio Label)、坂田学の在籍する坂田明SOSの2025年作『In a Sentimental Mood』(DAPHNIA)