Michael Kaneko作曲、ストーリー仕立ての歌詞に挑んだ“Day 6”
――そして3曲目が“Day 6”。Michael Kanekoさんが、プロデューサーとして参加しています。
「Michaelさんは、もちろんずっと知っていて、聴いていたんですけど、今年の8月3日に下北沢ADRIFTで、〈XinU presents Collective MUSIC / ART / POP UP! Market〉という、プチフェスみたいなイベントをやった時にゲストで出てくれて。いつか楽曲制作を頼みたい気持ちはずっとあったんですけど、EPの制作の締め切りが9月だから、無理だろうと思っていたんです。でも、ライブがめちゃめちゃ良かったから、駄目元で言ってみようと思って、ライブ終わりのMichaelさんをつかまえて、〈締め切りが来月末なんですけど、一緒に1曲作ってもらえませんか〉と言ってみたら、〈いいですよ〉みたいな感じで、驚きつつもすぐにスケジュールを確認してくれて、OKのお返事をいただいて。ミーティングして、しばらく経ってから届いたデモがめちゃくちゃかっこよくて、Michaelさんが自分で歌ってくれたデモを、私のキーに直して、歌詞を書いて、完成しました」
――この歌詞、すごく面白いです。Day 1、Day 2、Day 3……と日付が進んでいくにつれて、ドラマがどんどん深まっていく。どんなストーリーを考えたんですか。
「7月の頭に、群馬県の伊香保にある原美術館ARCというところで、ソフィ・カルというフランスの女性芸術家の展示を見たんです。恋人と別れるまでの90日という作品と、別れたあとの90日という作品があって、大失恋をした彼女の心境の変化が、文字と写真で綴られていて、それがめちゃくちゃ痛々しくて。別れた後、どんどん文字が薄れていくことで、痛みが消えていくという演出があったり、だんだん文字量が少なくなって、記憶が消えていくことを示していたり、すごく印象的な展示があったんですね。
それを曲にしようと思っていたわけではないんですけど、Michaelさんの仮歌で〈♪ベイベー〉っていう音のところに、〈♪デイワン〉って入れたら、うまくハマって、その展示に影響を受けた自分のストーリーが書けるんじゃないか?と思って、できたのがこの歌詞です。めっちゃ気に入ってます」
――すごくよくできた脚本みたいです。主人公の心情や、表情まで見えてくるような。
「今まで、ストーリー仕立ての歌詞はそんなになくて、気持ちを羅列するものが多かったんですけど、今回は“Day 6”もそうだし、この後に出てくる“余韻”とか、特に“バースデーナイト”は、ストーリーという枠を借りて、自分が感じたことのある気持ちを書いてみることに挑戦してみました。
『A.O.R - Adult Oriented Romance』に入っている“触れる唇”という曲で、初めてストーリーっぽい歌詞に挑戦して、すごく楽しかったので、アンサーソングを書けないかな?と思って、書いたのが“余韻”です。それで“Day 6”も同じように書いてみたら、共感してくれる人がいるかもしれないし、ストーリーが面白いと思ってくれるかもしれないと思って、挑戦してみました」
“Refrain”に込めた2つの意味
――4曲目“Refrain”は、シンセ主体の高揚感あるトラックに、エアリーなボイスがすごく気持ちいい、中毒性がある曲だと思います。
「これは制作期間の終盤にできた、松下さんプロデュースの曲ですけど、さっきの話で、〈今だったらこういう曲も歌えるんじゃないの?〉という曲です。ライブ会場がもっと大きくなった時に、みんなでさらに一体感を持てるような曲を、というイメージでできたのが“Refrain”ですね。次のステップを意識した曲です」
――開かれた感じがしますね。確かに、広い空間が見えてくる。
「リフレインという言葉の意味をちゃんと調べたら、音楽用語で繰り返すという意味と、自制するという意味があるんです。自分の良くない面を自制したいけど、いつも繰り返してしまう、2つの意味が1語の中に入っているのが面白くて、それをテーマに歌詞を書きました。“Monday to Friday”みたいに、自分の悪いところを乗り越えていこうという曲ではなくて、それはしょうがないよねと受け入れていいし、受け入れたくないと思ってもいいし、要は、私にも嫌な面はいっぱいありますよという曲です(笑)」