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『Dear Jubilee』の参加アーティストからわかるRADWIMPSの影響力

こうして2000年代のバンドシーンに注目が集まる中、その決定打となったのが今年メジャーデビュー20周年を迎えたRADWIMPSのニューアルバム『あにゅー』と、トリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』のリリースだ。

野田洋次郎と武田祐介の2人体制での初作となった『あにゅー』は、デビュー当初のようなフレッシュなバンドサウンドを〈anew=改めて〉鳴らした作品であり、その象徴となったのが8ビートのロックナンバー“MOUNTAIN VANILLA”。この曲で野田は〈アジカンとエルレとバンプを爆音で流してさ〉と歌い、2000年代の空気を今によみがえらせた。

RADWIMPS 『あにゅー』 Muzintom/EMI/ユニバーサル(2025)

以前から野田が影響を公言し、20周年ツアーで共演を果たしたBUMP OF CHICKENはもちろん、USのパンクやミクスチャーといった共通のルーツを感じるELLEGARDENに比べて、RADWIMPSとASIAN KUNG-FU GENERATIONが並列で語られることは少なかったように思うが、だからこそ“MOUNTAIN VANILLA”のこのラインは非常に新鮮だった。アルバム1曲目の“命題”のラスト〈「君じゃないと」が聞きたいの〉というラインも、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの“Re:Re:”の締めの部分〈君じゃないとさ〉のオマージュなのかもしれない。 

『Dear Jubilee』もART-SCHOOLとACIDMANのトリビュートと同様に、邦ロックの継承を感じる作品ではあるのだが、前2作との明らかな違いは〈バンドの参加が少ない〉ということ。14組中ソロアーティストが7組で、ギター、ベース、ドラムがメンバーとして揃っているのはMy Hair is Badのみ。つまり、RADWIMPSはバンドという枠組みを超えて、J-POP全般に影響を与えてきた存在なのだ。

VARIOUS ARTISTS 『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』 Muzintom/EMI/ユニバーサル(2025)

特に印象的なのが、現在のJ-POPシーンのトップランナーであるMrs. GREEN APPLEによる“狭心症”のカバーだ。キラキラとしたポップなイメージもある彼らがRADWIMPSの数ある楽曲の中から特にダークな曲を選んだことは、2組のバンドに共通するカウンター的な資質を示しているようで、そうした資質を持っていたからこそ両者は時代を塗り替えることができたのだと言える。Vaundyにしろ、SEKAI NO OWARIにしろ、角野隼斗にしろ、宮本浩次にしろ、他に似た者がいなかったからこそ、彼らはみなトップランナーになれたのだ。

その意味では、ボーカロイド出身のクリエイターというのもまさにJ-POPシーンを塗り替えてきたカウンター的な存在であり、YOASOBI、米津玄師、ヨルシカの3組が『Dear Jubilee』で顔を揃えた意味は大きい。『Dear Jubilee』の参加アーティストは毎日1組、五十音順で発表されたので、最後に明かされた3組がこの並びだったことも含めて、本品の性格を象徴していると言えるだろう。

ヨルシカにベースで参加するキタニタツヤがボカロP名義の〈こんにちは谷田さん〉として主宰したボーカロイドのコンピレーション『Eingebrannt』も、今年の8月にリリースされている。この作品はキタニが以前からファンであることを公言していたthe cabsをはじめとした残響系や、当時のエモやポストロックに通じる音楽性の曲を集めたものだった。これはつまり、クリエイター気質の強い2000年代のバンドがボカロに代表される現代のクリエイターにいかに影響を与えているかを裏付けるものである。

RADWIMPSは今年ひさびさに「NHK紅白歌合戦」に出場することが発表されている。2023年のキタニタツヤ“青のすみか”、2024年のMrs. GREEN APPLE“ライラック”という紅白で披露された楽曲のイントロで鳴らされる緻密なギターフレーズを聴くだけでも、2000年代から繋がる1本の線があることを感じられる。