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アジカンという存在の大きさ

YouTubeやサブスクで音楽を聴くことが一般的になって、年代やジャンルを問わず自由に楽曲にアクセスできるようになり、それが新たな音楽の誕生に寄与した部分はあるだろうが、やはり音楽には歴史があって、文脈があり、継承されていく文化がある。3作のトリビュートアルバムは、それを紐解く楽しさを改めて教えてくれるものだった。今年来日公演が大きな話題を呼んだオアシスも、ビートルズなどから継承した音楽を自分たちのスタイルで鳴らすことで世界中に多くのフォロワーを生んだわけだが、以前からオアシスのファンであることを公言し、来日公演でオープニングアクトを務めたASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文も以前から〈繋ぐ〉ことを意識していた。彼がたくさんのアーティストを紹介してきたブログ〈ゴッチの日記〉は、まさにアーティストとリスナーを〈繋ぐ〉場であった。

年末のビッグイベントである〈COUNTDOWN JAPAN〉の今年のラインナップにも、ここまで挙げてきたバンドが多数出演する。12月30日にはASIAN KUNG-FU GENERATION、BUMP OF CHICKEN、ストレイテナー、ACIDMANと下北系のバンドが並び、まさに今年のムードを象徴している。同日には『Dreams Never End』に参加しているindigo la Endとリーガルリリーも顔を揃えているが、ほかにもヒトリエ、KANA-BOON、kurayamisakaとそれぞれ音楽性は異なれどASIAN KUNG-FU GENERATIONからの影響を公言しているバンドも並んでいて、改めて彼らの存在の大きさが伝わってくる。

また、12月31日にはthe cabsと9mm Parabellum Bulletという残響系の2組が揃っているのも要注目だ。今年の〈COUNTDOWN JAPAN〉には出演しないものの、同じ残響系であるcinema staffの辻友貴はレコードショップとレーベルを運営しながらエモやポストロックを紹介し続け、後藤と同様に〈継承〉の重要人物である。cinema staffが毎年地元の岐阜で開催しているフェス〈OOPARTS〉の来年のラインナップには、すでにART-SCHOOL、ストレイテナー、9mm Parabellum Bullet、the cabs、キタニタツヤ、ヒトリエといった名前が並んでいる。

下北系と残響系の両方から影響を受け、今年飛躍を果たしたkurayamisakaの清水正太郎は、11月に行ったツアーファイナルのアンコールで、「今の僕がここに立っているのは、14歳の頃にとあるバンドに出会って、そこから人生の道を踏み間違えてしまい、なぜかこの歳になってもずっとバンドを続けてるわけなんですけど、その元凶となったバンドのカバーを」と言って、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの“十二進法の夕景”を披露した。清水は今年の6月、2017年にリリースされたASIAN KUNG-FU GENERATIONのトリビュートアルバム『AKG TRIBUTE』(リーガルリリー、KANA-BOONらが参加)のサブスク配信がスタートした際、自分が参加するなら“十二進法の夕景”をカバーするとして、実際にアレンジを作成したことを自身のnoteに記していて、それをあの日に初披露したわけだ。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONは2026年が結成30周年イヤーで、4月には東京・有明アリーナでスペシャルコンサートの開催が予定されている。『AKG TRIBUTE 2』が作られるとしたら、果たしてどんなアーティストの名前が並ぶのか。そんなことを想像するだけで、思わずニヤリとしてしまう。