
長岡亮介のユニークなギタープレイからの影響
――出発点は吉田拓郎さんだったとして、今のKawara, Senさんに影響を与えているギタリストと言うと、どなたが思い浮かびますか?
「それはハッキリしていて、自分のギターの弾き方が大きく変わったきっかけは、長岡亮介さんですね。ペトロールズはもちろん、東京事変や星野源さんのサポートなど、いろんなところでギターを弾いていらっしゃると思うんですけど、長岡さんのギターの弾き方を知ったことは、自分にとってはかなり衝撃的なことでした。それまでの自分のギターの弾き方とは、弾き方というか、ノリ方というかが、まったく違ったんですよね。長岡さんってかなりユニークな弾き方をされるので、真似しようと思っても難しいんですけど、それでも自分にとってはすごく新鮮だったんです」
――現在、Kawara, Senさんの作品は大部分をおひとりで作られていると思うんですけど、バンド活動をされていた時期はありますか?
「いや、バンド活動はしたことがないんです。ずっと、ひとりでやっていますね。バンドが嫌いと言うわけではないんですけどね(笑)。ただ、これまでの時点ではそういう形にはならなかった、という感じで」
〈すべてが変わる〉なんて信じられない袋小路感
――今後もいろんな可能性がありますね。今回、昨年配信リリースされた1stフルアルバム『Something Like a River Flowing into the Lake—No Exit?』がフィジカルリリースされました。今作は2020年~2024年頃に作られていた楽曲が集まったアルバムということですが、アルバムをあらかじめ想定しながら曲作りをされていたんですか? それとも、できてきた曲たちを後から見渡してみたら、この形でパッケージして、このタイトルを付けるのが相応しかった、という感じですか?
「完全に後者ですね。アルバムを作るために曲を集めたというよりは、1曲1曲、曲を作っていて、それを後から俯瞰してみたときに、テーマが見えてきたという感じです」
――Kawara, Senさんご自身で書かれたライナーノーツによれば、タイトル『Something Like a River Flowing into the Lake—No Exit?』を意訳すると〈出口のない湖に流れ込む川の流れのようなもの〉になる、ということで。この言葉はどのようにして出てきたものですか?
「自分が日頃、自分自身や世界に対して感じていることが言葉になったんだと思います。本当にこのタイトルの通りなんですよね。袋小路感、というか。例えばですけど、〈どこか遠いところに行けばすべてが新しくなる〉とか、〈何かをすれば、そっくりすべてが生まれ変わる〉とか、そういうことがまったく信じられなくて、〈ああ、この範囲内で動いていくんだな〉と感じている……そんな袋小路感。それは、何かひとつのことに対して感じているわけではなくて、生きていると事あるごとに感じることなんですけど」
――その感覚はわかります。僕も、極めて個人的なことを考えたときでも、周りや社会を見渡したときでも、そういうことを感じることはあります。
「そうですよね。そういうことが、アルバムの中の1曲ごとに具体的な対象があるわけではないんですけど、抽象度が高い状態で表現されていればいいなと思っていました」