BUCK-TICKの今井寿が率いる〈ロケン〉バンドLucyが、ニューアルバム『ROCKAROLLICA III』をリリースした。オリジナルメンバーのKiyoshiと岡崎達成と共に、今年1月に突如再始動をアナウンスしたLucyの新作を李氏(音楽ZINE「痙攣」編集長)にレビューしてもらった。 *Mikiki編集部

Lucy 『ROCKAROLLICA III』 ビクター(2026)

 

ふらつきながらも20年以上続いてきたサイドプロジェクト

Lucyはどこか宙に浮いたようなところのあるバンドだ。

BUCK-TICKのギタリストにしてコンポーザーである今井寿を中心に、hide with spread beaverでの活動でも知られるKiyoshi、M-AGEのドラムス岡崎達成の3人で2004年に結成されたLucy。バンドのテーマとして〈ロケン〉を掲げながら、メンバーは1950年代以降にジャンルや美学として確立されたロックンロールとはむしろ距離のある活動をしてきた者ばかりだ。

人気漫画の捏造された不在のカリスマロックミュージシャンの名前からバンド名を拝借して、その場の酒の席の勢いで活動を始め、その後18年も沈黙を保ったかと思えば、なんの前触れもなく突然再始動する。Lucyはどこか足場の定まらない、ふらつくような足取りで20年以上もの間続いてきたプロジェクトとも言えるだろう。

例えば今井が長年ギタリストを務めてきたBUCK-TICKのあまりに堅実すぎるキャリアの歩みと比べた時、Lucyにはどうしてもある種の〈余興〉、サイドプロジェクトとしての側面があるのは否めない。それは他のメンバー2人のメインの活動と比較しても同様だ。

しかし、全くの根無し草とも言い切れないのがこのバンドの厄介なところでもある。例えばザ・ストロークスやザ・ホワイト・ストライプスを筆頭に2000年代初頭の英米ロックシーンを大きく賑わせたガレージロックリバイバルの流れを考えれば、Lucyのささくれたロックンロールサウンドもそれらに対する応答と解釈できないこともない。さらにLucyの活動後、『天使のリボルバー』や『memento mori』とギター中心の生のバンドアンサンブルに特化したBUCK-TICKのアルバムのリリースが続いたのはよく知られるところだ。あくまで軽やかに無責任に、しかし繋がるところは繋がるというのがこのバンドのスタンスということか。

そんなようにバンドが存続しているのかどうかさえ定かではないまま18年の時が流れた今、突然Lucy再始動のニュースが流れた。どうやらアルバムのリリースとツアーが開催されるらしいとのことで、筆者も含めこれにどう反応すればよいのかわからなかったリスナーも少なくなかったのではないだろうか。