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エルヴィス・プレスリーの絶頂期を追体験できる映画「EPiC」のサントラが登場!!

 鬼才バズ・ラーマン監督が、伝記映画「エルヴィス」(2022年)に続いて、ふたたび伝説のロックンロール・キングと向かい合い、現代に再生させたライヴ映画「EPiC/エピック エルヴィス・プレスリー・イン・コンサート」が、いよいよ5月に日本でも劇場公開される。

 製作のきっかけは、「エルヴィス」を作る過程で、59時間にも及ぶ未発表フィルムの存在が判明したこと。そこには、70年にラスヴェガスのホテルで行った公演、72年に全米を回ったツアーの表側と裏側を中心に膨大なアーカイヴが記録されていた。その時期のコンサートの様子は、映画「エルヴィス・オン・ステージ」(70年)、「エルヴィス・オン・ツアー」(72年)として、またはライヴ・アルバムとしても長くファンには親しまれてきたものだ。しかし今回、バズ・ラーマンは膨大なアウトテイクを検証し、音声と映像を徹底的に補修。70年代初頭のエルヴィスが歌い、動き、笑い、汗をかき、音楽を愛する姿をまざまざとスクリーンに浮かび上がらせている。

ELVIS PRESLEY 『「EPiC/エピック エルヴィス・プレスリー・イン・コンサート」オリジナル・サウンドトラック』 ソニー(2026)

 そんな本作のサウンドトラック盤は、全米でのIMAX上映の開始日に合わせて、本国では2月にCDと配信で発表されたが、この4月に日本盤のCDが登場し、並行して全世界同時にアナログ盤2枚組でもリリースされたばかり。バズ・ラーマン流のダイナミックな編集技術は音像面にも十二分に発揮されており、複数のコンサートからの音源を融合したヴァージョンや新たなリミックスを収録。エルヴィスという圧倒的な素材を現代のイリュージョニストが料理した音の一大スペクタクルになっている。

 そんな趣向豊かな作品においても、やはり主役はエルヴィス。愛するファンに全身全霊を捧げるコンサートでのパフォーマンスがまず凄い。南部フィールのファンキー・ソウルに仕立てた“Polk Salad Annie”や、当時の最新ヒット“Burning Love”は、70年代のエルヴィスなんてエンタメまみれのお人形さんでしょと見くびっているリスナーの度肝を抜く。映画でもステージやリハーサル時のバンド・メンバーとのやり取りに純粋さが溢れまくっていたし、その生々しさはサントラからも伝わってくる。ロックンロール・ギターのレジェンド、ジェームス・バートンやドラマーのロニー・タット、女性コーラス・グループのスウィート・インスピレーションズなど、エルヴィスを支えるバンドの演奏や歌唱もドライヴ感があって聴きどころたくさん。主役の歌を中央に据えたミックスも、シンプルながら現代的だ。

 また、映画ではBGM的に使用されている、エルヴィスの名曲を素材として現代的なリミックスを施したトラックの数々も興味深い。オーストラリアのダンス・ユニット、プナウによる“Don’t Fly Away (Pnau Remix)”は劇映画「エルヴィス」でも使用された、エルヴィスの楽曲“Any Day Now”(69年)の一節をサンプリングし、大胆なリエディットと共にディスコ・ハウスへと華麗に変貌させたリミックス。今回は映画のクロージング・テーマとして使用されている。また、“Love Me”“In The Ghetto”など、シーンとシーンをつなぐ重要なハブとして機能する楽曲の印象的なリミックスを担当したのは、オーストラリア出身のジェイミーソン・ショウ。バズ・ラーマンとのコンビはNetflixでの「ゲット・ダウン」(2016年)から続いていて、「エルヴィス」では、ブリトニー・スピアーズの“Toxic”とのマッシュアップなどを制作していた。

 今回の『EPiC』におけるジェイミーソン仕事のなかでは、“A Change Of Reality (Do You Miss Me?)”が圧巻。60年の名曲“Are You Lonesome Tonight?”と、68年発表の“Edge Of Reality”とを、後者のファンキーなリズムをブーストさせたトラック上でマッシュアップ。長年のファンもびっくりの、いろんな意味でチャレンジングなリミックスだが、映画出演の多忙なスケジュールに悩み、ミュージシャンとしての再起を求めるエルヴィスの心中を、絶妙に代弁している。さらにU2のボノがエルヴィスに捧げたポエトリー・リーディング“American David”は対訳を見ながら耳を傾けてみてほしい。

 ロックの教科書に載る偉人ではなく、いま目の前にいるロックンロール・スターとしてのエルヴィスの人間味とかっこよさが、この映画とサウンドトラックにはある。

左から、エルヴィス・プレスリーのベスト盤『Elvis 30 #1 Hits Expanded Edition』、2022年のサントラ『Elvis』(共にRCA)