4月27日、UNISON SQUARE GARDENが今年7月の幕張メッセ公演をもって鈴木貴雄(ドラムス)が脱退し、ライブ後に活動休止することを発表した。斎藤宏介(ボーカル/ギター)、田淵智也(ベース)、そして鈴木の3人で2004年に結成されたバンドからの突然のアナウンスに、多くのファンと音楽リスナーが驚愕した。
Mikikiでは、3ピースロックバンドとしての可能性を追求し続けてきたUNISON SQUARE GARDENの功績を確かめるべく、音楽ライターの蜂須賀ちなみ、伊藤美咲の力も借りながら全9枚のオリジナルアルバムをレビューした。あわせて、現在サブスク未解禁のカップリングベストについても紹介する。 *Mikiki編集部
高田馬場のマクドナルドで決まったバンド名をそのまま掲げたメジャー1stアルバム。ライブにおけるバンドセッションからの流れを意識したような“サンポサキマイライフ”や“等身大の地球”、独特でユーモラスなリリックが耳を引く“デイライ協奏楽団”、クリアなトーンのギターアルペジオとシンプルな8ビートが切なく絡み合うミドルチューン“クローバー”と、メジャー1枚目ながら他のバンドとは一線を画すオリジナリティに溢れた楽曲が並んでいる。
グランジ風の激しいサウンドでバンドのダークな一面を見せる“WINDOW開ける”、シンセなどを加えてディスコ色を強めたライブの定番曲“MR.アンディ -party style-”などでは、彼らの音楽的な原点と懐の広さを垣間見ることができる。
3ピースロックバンドとしての哲学が貫かれた“センチメンタルピリオド”は、7月に控える現体制でのラストライブの公演タイトルにもなっているだけあり、UNISON SQUARE GARDENのすべてが凝縮された1曲と言える。結成20周年を記念した際のベスト盤では同曲の再録バージョンを聴くこともできるが、まだまだ発展途上ながら命を燃やすように歌い演奏するこちらの音源の方が個人的には好みだ。 *小田
〈コーヒーカップ〉〈観覧車〉〈メリーゴーランド〉と歌詞に散りばめられた遊園地の要素が表すように、リスナーを楽しませる音と遊び心がふんだんに盛り込まれた2ndアルバム。全曲を通して聴いていると、疾走感溢れる“コーヒーカップシンドローム”、最小限の音数で最大限の伝え方をする“気まぐれ雑踏”、リフレインするワードがクセになるキャッチーな“ライドオンタイム“など、幅広い音楽性の楽曲たちがジェットコースターのようにあっという間に駆け抜けていく。
そんな本作だが、制作時は作詞・作曲を担当する田淵がスランプに陥っていたそう。それでも己の信念を貫き、自らの手で完成させた12曲が収められた本作のキャッチコピー〈可能性なら、いくらでもある。〉は、リスナーへ向けた希望の言葉であったと同時に、UNISON SQUARE GARDENというバンドの決意表明とも受け取ることができる。その可能性の花が開いたかどうか。当時まだ広く世に知られていなかったバンドが、16年後に大歓声の中で音を鳴らしているという事実が、そのまま答えだ。 *伊藤
本作のインタビューで田淵は「僕らがJ-POPの土俵で本気で勝負しているんだとわからせるためにこういうアルバムにしようと考えていた」と言い切っている。その言葉どおり、本作は今に続く〈ユニゾン流のポップネス〉の土台が完成した作品と言えるだろう。
田淵ならではのユニークな視点で喜怒哀楽を表現した“kid, I like quartet”、アンサンブルの妙で聴かせる4つ打ちナンバー“きみのもとへ”、息つく暇もない複雑かつハードなドラムが聴きどころな“場違いハミングバード”など、本作には今も彼らのライブでハイライトとなる楽曲が多数収録されていて、自分たちの音楽をそれまで以上に外へ向けて届けようとする3人の気概がビシビシと感じられる。
“オリオンをなぞる”によって巻き起こった上昇気流にただ乗るのではなく、そこで様々な飛び方にトライしたことで、3人は自分たちだけのポップネスに辿り着くことができたのではないだろうか。尖った信念を持つロックバンドでありながらポピュラーであろうとすることを恐れない、そんなUNISON SQUARE GARDENの覚悟が刻まれた傑作である。 *小田
ストリングスやピアノ、ブラスの音色も取り入れながら、自分たちの脳内で鳴っていた音楽を際限なく具現化することで、ユニゾン流ポップスを追求した4thアルバム。オリジナルアルバムで唯一収録時間が60分を超える作品でもあり、カラフルでハイカロリーな13曲が溢れんばかりの勢いでパッケージされている。
いいメロディだからこそ何度でも反復したい、バンドの核を削がずに音や言葉にしたい――そんな熱量も含め、当時の彼らの推進力が刻まれている。現在と比べれば青さも残るが、澄んだ歌声はメロディを鮮やかに際立たせており、聴き手の欲するタイミングで飛び込んでくるキメやフィル、リズムチェンジは実に気持ちがいい。
互いの才能をぶつけ合いながら形成された独自のイディオムは、この時点で既に〈ユニゾンにしか鳴らせないアンサンブル〉の輪郭を描き始めている。バンドの歴史においても特別な位置を占める楽曲“シャンデリア・ワルツ”で〈世界が始まる音がする〉と歌い上げるエンディングも、このアルバムの昂揚を物語っている。 *蜂須賀
アニメ「夜桜四重奏~ハナノウタ~」のオープニング主題歌としてヒットした“桜のあと(all quartets lead to the?)”をはじめ、“harmonized finale”、“天国と地獄”といった今や彼らの代表曲となった曲たちを含む5thアルバム。
本作がリリースされた2014年の日本のロックシーンといえば、KANA-BOONやフレデリックといったバンドが4つ打ちを基調としたダンスロックでライブシーンを賑わしていた頃だが、ユニゾンはそうしたトレンドには乗らず、自分たちの本能に従った音を届けることに心血を注いだ。結果、ストリングスやホーンを取り入れてポップに仕上げた前作『CIDER ROAD』に対して、本作は3ピースならではのストレートなバンドサウンドを堪能できる一作となった。
一方で、“蒙昧termination”に〈あのね歌詞書いたの僕じゃないんで 田淵に言っておいて〉というメタ的な歌詞があったり、“instant EGOIST”の間奏で『JET CO.』収録の“23:25”のギターフレーズが引用されていたりと、ギミックもたっぷり。シーンに迎合せず、ただ自分たちの鳴らしたい音を鳴らす。そんなエゴイストたちの矜持が、このアルバムには詰まっている。 *伊藤
UNISON SQUARE GARDENほどクセが強いバンドも珍しい。もちろん、めちゃくちゃポジティブな意味で。その個性の強さは〈UNISON SQUARE GARDENというジャンル〉を確立している、なんて言ってもいいくらい。最小限のトリオという編成でここまで演奏やパフォーマンス、一聴してそれとわかる曲の個性を作り上げた存在は比較対象がなく稀有だろう。
そんな彼らの短くないキャリアにおける重要作のひとつと言っていいのが、この6作目『Dr.Izzy』だ。オリコン週間3位という記録も当時の彼らの最高位で、それには最大の人気曲で代表曲“シュガーソングとビターステップ”を収録していることも影響したはず。ダンサブルな4つ打ちビートとキャッチーなメロディ、なのにドタバタと暴れ回るテクニカルな3人の演奏(〈ユニゾン〉するキメの気持ちよさ)、高速で変わっていくコード進行……。〈超天変地異みたいな狂騒〉とはユニゾンの音楽を表しているかのよう? 同曲や“BUSTER DICE MISERY”では(あまり好ましい形容じゃないけれど)〈変態的〉と呼ぶしかないプログレのごとき演奏を聴かせている。
“パンデミックサドンデス”の〈少し静かにしてもらえますか をやんわり言って後悔中〉、“Cheap Cheap Endroll”の〈うるせえ〉など斎藤の巧みなボーカル表現も圧倒的だ。7拍子も駆使した複雑な“エアリアルエイリアン”でスタート、温かく軽快なバラード“8月、昼中の流れ星と飛行機雲”やイズミカワソラが清々しいコーラスを添えたノスタルジックな“mix juiceのいうとおり”などを挟み、猪突猛進でパンキッシュな“Cheap Cheap Endroll”で締める構成に、ロックバンドUSGの類まれな個性が凝縮されている。 *天野龍太郎
ニルヴァーナやザ・ヴァインズ、NUMBER GIRLなんかを思わせる意外なオルタナ/グランジナンバー“Own Civilization”で開幕する7thアルバム『MODE MOOD MODE』。“fake town baby”“Invisible Sensation”“10% roll, 10% romance”とアニメタイアップを3曲も収録し、ファン層をさらに広げ、オリコン週間2位と前作の記録を更新、ユニゾンの止まらない快進撃を印象づけた。
その“10% roll, 10% romance”は斎藤いわく「UNISON SQUARE GARDENのすべてが詰まった楽曲」。たしかにこの曲を聴けば、USGらしさを110%浴びることができる。高速BPMでビートを刻むなか、〈まだ変わっていくの!?〉と驚くくらいに変転していくドラマティックで目まぐるしい展開には、田淵の入り組みまくったソングライティングを中心にした彼らの独自性が詰め込まれているからだ。
“静謐甘美秋暮抒情”“フィクションフリーククライシス”のフュージョンや現代ジャズに接続しそうなリズムアプローチは、ファンキー&グルーヴィでありながらも極めて複雑。一方、曲名どおり爽やかなストリングスを交えた“オーケストラを観にいこう”、軽やかなホーン隊が跳ねる“君の瞳に恋してない”といった曲には、奇怪な複雑さで聴き手を翻弄するだけじゃない〈ポップに突き抜けたユニゾン〉もいる。強い誘因力のある開かれたJ-POPを聴かせるバンドとして大きく飛躍したアルバムでもあるのだ。 *天野
ロックバンドの生動感とアルバムとしての構築美を兼ね備えた、2020年代の3ピースバンドの金字塔。8thアルバム『Patrick Vegee』は、結成15周年(2019年)を経て〈通常営業〉に戻った彼らが、3人で鳴らすバンドサウンドにフォーカスして制作した。ワウのかかったベースリフで幕を開ける今作は、全体的に生々しく不均一だ。速い・複雑・多展開の曲構成、定型を解体して言葉を自在に組み替えた歌詞――世界の都合や不文律に束ねられるのを拒みながら飛び回る音楽は、〈複雑〉という言葉に〈すなお〉とルビを振りたくなるような純粋さをたたえている。
このアンサンブルの上で、このメロディに乗せて、この歌詞が歌われていること自体が一つの発明。肉体的にも思考的にもユニゾンのプレイヤーとして特化していった3人は、もはや誰にも追いつけない領域にある。自分たちの理想を突き詰めた結果、その音楽は聴き手が呼吸できる場所にもなっている。スリルと遊び心に満ちたアッパーチューンと、純なミドル〜スローナンバーが違和感なく共存できるのも、このバンドならではだ。さらに曲順にも設計思想が表れており、アルバムという形式への真摯な向き合い方も彼ららしい。
2024年の日本武道館公演〈ROCK BAND is fun〉では収録曲の多くが披露され、今作が内包していた美学が20周年のタイミングで改めて立ち上がった。 *蜂須賀
曲間の妙や曲と曲との繋ぎによって〈アルバム〉というフォーマットの様式美/構築美を極めつつあったバンドが、そうした方程式をあえて使わずに挑んだ9枚目。アニメ「TIGER & BUNNY」シリーズに提供してきた過去の楽曲の要素を散りばめた“kaleido proud fiesta”、息つく暇もないプログレな展開で聴く者を圧倒する“カオスが極まる”、『CIDER ROAD』や『Dr.Izzy』あたりのポップでファニーな空気感が漂う“Nihil Pip Viper”と強力なシングル曲を適材適所に配置しながら、シティポップ的なアプローチの“City peel”や、もの悲しいメロディと具体性のある描写がマッチした“もう君に会えない”などミドルテンポな楽曲が作品全体を美しくまとめている。
また、ブラスやコーラスを加えたポップチューン“恋する惑星”のように3人だけの音にこだわらない柔軟な発想も、前作、前々作があってこそのものだろう。UNISON SQUARE GARDENにとってのベストを更新する――そんな気概が1曲1曲から感じられるのだ。
3人それぞれがUNISON SQUARE GARDEN以外でも新たな居場所を見つけたことで、1人1人の自由度が増し、その結果、バンドの一体感にこれまで以上の価値を見出すことができる作品にもなった。 *小田
オリジナルアルバムがバンドにとっての表の顔だとすれば、各シングルのカップリング曲は裏の顔……ではなく、むしろUNISON SQUARE GARDENの〈真の表の顔〉と言い換えたほうが正確だろう。
記事公開時点ではサブスク未解禁である彼らのカップリング曲をまとめたのが本作。バンド結成15周年のタイミングでリリースされ、“センチメンタルピリオド”から“Catch up, latency”までのシングルB面曲や結成10周年の際に制作された“プログラムcontinued”の15周年バージョンなどが収められている。また、“5分後のスターダスト”や“スノウリバース”といった初期の楽曲が新たに再録されている点も嬉しいところ。
最新のツアー〈うるわしの前の晩〉でも披露されたストレートなロックナンバー……かと思いきや突如スカのリズムも織り込んだキラーチューン“シグナルABC”、〈この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りすると見せかけもう一度〉と遊び心のある歌詞も楽しい“Micro Paradiso!”、疾走感と季節感が同居した“ノンフィクションコンパス”など、なぜこれがカップリングに?と思うほどハイスペックな楽曲が並んでいる。
いずれの楽曲もUNISON SQUARE GARDENの真骨頂を体現していて、サブスクには未解禁である点も含めて彼らがいかに〈CDを買ってくれるファン〉を大切にしているかがわかる作品でもある。田淵は自身のブログで「CDを買ったやつが一番いい思いをする」という旨の発言をよくしていた。配信全盛の時代において、底抜けにキャッチーな楽曲を目いっぱい収めた本作は、対価を支払って手にする価値があるアイテムだと断言しておきたい。 *小田
RELEASE INFORMATION

UNISON SQUARE GARDEN 『UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2025-2026「うるわしの前の晩」 at TOYOTA ARENA TOKYO 2026.02.10』 トイズファクトリー(2026)
リリース日:2026年6月24日(水)
■Blu-ray盤(BD+2 LIVE CD)
品番:TFXQ-78296〜78298
価格:8,800円(税込)
■DVD盤(DVD+2 LIVE CD)
品番:TFBQ-18316〜18318
価格:7,700円(税込)
TRACKLIST ※Blu-ray/DVD/LIVE CD共通
1. 夏影テールライト
2. Nihil Pip Viper
3. Catch up, latency
4. アンチ・トレンディ・クラブ
5. MIDNIGHT JUNGLE
6. ため息 shooting the MOON
7. アトラクションがはじまる(they call it "NO.6")
8. マーメイドスキャンダラス
9. いけないfool logic
10. 傍若のカリスマ
11. ベースソロ
12. 夜が揺れている
13. オーケストラを観にいこう
14. うるわし
15. セッション
16. シグナルABC
17. 10% roll, 10% romance
18. kaleido proud fiesta
19. シャンデリア・ワルツ
20. カオスが極まる
21. crazy birthday
22. 春が来てぼくら
LIVE INFORMATION
UNISON SQUARE GARDEN LIVE 2026「Sentimental Period」
2026年7月15日(水)千葉・幕張メッセ国際展示場
開場/開演:16:30/18:30
■チケット
オールスタンディング(ブロック指定):10,000円
※未就学児童入場不可(小学生以上チケット必要)









