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Photo by 田辺佳子

大人になったが、丸くなってはいない

REBOOT後のインタビュー記事で印象に残っているものがある。

RYUICHIが、〈One Night Déjàvu〉を振り返ってこんな話をしていた。

2007年に「One Night Déjàvu」 をやったときに、本当のグルーヴを手に入れたという気がすごくしたんですね。あのライヴで、“LUNA SEAってすごく上手くなったな”と思った人がきっとたくさんいたと思うんですけど、上手くなったのはテクニックが上がったというよりは、みんながいろんな人たちとプレイして戻ってきたけど、原点はLUNA SEAだから、お互いのクセというのを一番よく知ってる…。そのお互いのクセが噛み合ったときの威力ってすごいんだ、ということをあそこでメンバー同士が再認識したんじゃないかと今では思うんです。

「フールズメイト」2013年2月号 10ページ インタビュアー・東條祥恵

一方で真矢はこうも語っている。

バランスよくみんな人の意見を聞けるようになったかな。40歳過ぎてやっとね。がはははははっ(笑)。だから、ライヴがよくなるんですよ。人の音が聞けるようになったから。

「フールズメイト」2013年2月号 24ページ インタビュアー・東條祥恵

「昔のLUNA SEAは人の音なんて聞いてなかったんですか?」というインタビュアーをつとめる東條祥恵氏の問いに対して、「う~ん……………聞こえてはいたんじゃないですか(笑)」、「聞こえてた、ぐらい(笑)。僕もそうだったし。今は人の音を聞こうとしてるよね」と答えている。

こういった発言からもLUNA SEAというバンドの、共同体としての成熟を感じたのだった。

月並みにいってしまえば〈大人になった〉といえるのかもしれないけれど、それを〈丸くなった〉と呼ぶかどうかはまた別の話で。まぁ丸くなったバンドは40代で武道館6日連続公演をやったりしないか(これらのインタビューは〈LUNA SEA LIVE TOUR 2012-2013 The End of the Dream〉の日本武道館6 DAYSを控えた時期のものである)。

〈丸くなっていない〉といえば、2017年の〈テレビ朝日ドリームフェスティバル〉も強く印象に残っている。WANIMAやTHE ORAL CIGARETTESといった人気バンド・アーティストが出演するなか、トリをつとめたLUNA SEAのステージは、アリーナ会場をまるで自分たちの庭のように扱っていた。その余裕にはキャリアの厚みを感じさせると同時に、いい意味での大人気なさがにじんでいた。

 

強烈な個性が互いの音を聴き、噛み合わった現在のバンド

そして、2019年には通算10枚目のアルバム『CROSS』がリリースされる。本作の共同プロデューサーとしてスティーヴ・リリーホワイトの参加が発表された。

LUNA SEA 『CROSS』 ユニバーサル(2019)

『CROSS』リリース時に、NME JAPANに掲載されたSUGIZOとの対談で、スティーヴは5人をこう評している。

「今の僕はLUNA SEAをある意味、アニメのキャラクターのように捉えている。でも、これがまたいいんだ。そのおかげで素晴らしいバンドになるんだからね」

メンバーそれぞれが個性的なので、ある種キャラクターのように捉えるのは判るのだが、90年代と現在とでの決定的な違いは、その〈キャラクター〉が互いをぶつけ合うのではなく、響き合っているということだろう。90年代のLUNA SEAが、五者五様のエゴをぶつけ合うことで生まれる緊張感のバンドだったとすれば、現在の彼らは、それぞれの強烈な個性をそのままに、互いの音を聴き、噛み合わせることで成り立っている。前述したRYUICHIの「お互いのクセが噛み合ったときの威力」、真矢の「人の音が聞けるようになった」という言葉が思い出される。

2023年、『MOTHER』と『STYLE』のセルフカバーアルバムが同時発売された。原曲の輪郭はそのままに、しかし確かに現在進行系の音として完成されている2作は、冒頭の真矢の語る「変化をし続ける、不変的な存在」という言葉をそのまま体現したかのように思える。

LUNA SEA 『MOTHER』 avex trax(2023)

LUNA SEA 『STYLE』 avex trax(2023)