自分の原点の魅力を伝える注目の第2弾
斬新な切り口と選曲で知られる日本コロムビアのコンピレーション・アルバムの歴史に新たな傑作がまた1枚加わった。人気ロックバンドLUNA SEAやX JAPANで活躍するSUGIZOが手がけた『SPIRITUAL CLASSIC SUGIZO SELECTION II』だ。両親がオーケストラ団員だった縁で、幼少期からヴァイオリンなどの英才教育を受けたというSUGIZO。当盤は昨年好評を博した同名作の第2弾で、大編成の作品が中心だった前作とは対照的な選曲が特徴だ。「ヴァイオリンばかり弾いていたので、昔から憧れが強かった」というピアノ作品など小編成ものが数多くセレクトされている。
冒頭を飾るのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番《月光》の第1楽章。この名旋律はクラシック音楽に明るくなくても、LUNA SEAファンにはおなじみだろう。
「僕たちのライヴではグループ名(LUNA=月)にちなみ、オープニング直前のSEに《月光》を流しているんです。このアルバムを聴くファンの方がライヴのあの高揚感を思い出してくれたらいいなと思って」
その後も、ラヴェル「ダフニスとクロエ」の《日の出》、ホルスト「惑星」の《金星》、ドビュッシー《夢》など音色もリズムも多彩な傑作が並ぶ当盤。SUGIZOは全17曲の選曲だけでなく、演奏者や曲順、曲間の決定といった細部まで自ら指示を与えたという。そうした中、彼のこだわりが最もよく表れているのが、ストラヴィンスキー《春の祭典》とモーツァルトのレクイエムの演奏者。何と自社音源ではなく、他社の名盤をわざわざ収録しているのだ。
「《春の祭典》はヴァレリー・ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管を、レクイエムはリッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィルを選びました。特にゲルギエフは僕が敬愛してやまない指揮者。《春の祭典》の肉厚感とスピード、そして咽びかえるような彼の録音は、唯一無二の名演だと思うので絶対に外せませんでした。そんな僕の要望を最大限に叶えてくれたコロムビアののスタッフには心から感謝しています」
持ち前の緻密な作曲能力や、精確で即興性の高い演奏能力に、クラシック音楽の影響を強く感じさせるSUGIZO。
「今後も機会があればこのような裾野を拡げる活動にぜひ関わりたいです」と意欲を語ってくれた。
また、「ワーグナーやマーラーの長大な管弦楽曲が大好きなので、次回作があるとしたら2枚組かも(笑)」とのことなので、1日も早い実現が待たれる。