ボズ・スキャッグスの最新ツアー〈ONE FOR THE ROAD〉の日本公演が開催された。AORの大名盤として名高い『Silk Degrees』が今年発売50周年を迎えたタイミングで6都市を巡り、名曲の数々を届けたボズ。そんな来日ツアーより、6月5日に東京・Kanadevia Hallで行われた千秋楽のライブレポートが到着した。 *Mikiki編集部
ミラーボールの下、紳士淑女たちが50年前にタイムスリップ
2年ぶりの来日。AORの名盤にして原点とも謳われる代表作『Silk Degrees』の50周年。そして自身が日本公演終了直後に82歳を迎える(6月8日が誕生日)。そんな多くの話題を呼んだボズ・スキャッグスによる〈ONE FOR THE ROAD〉ツアーの最終日を観た。
ほぼ定刻通りにライトダウンし、名手ウィリー・ウィークス(ベース)をはじめとするバンドメンバー6人がそろって登場。主力は前回公演と同じ顔ぶれながら、ギターはジョン・ヘリントン、ドラムスがジェイムソン・ロスにスイッチしている。ただしヘリントンはスティーリー・ダン及びドナルド・フェイゲンのツアーやアルバムに参加し、ボズとはデュークス・オブ・セプテンバー(ボズ、ドナルド・フェイゲン、マイケル・マクドナルドによるライブプロジェクト)でも一緒にプレイした関係。ジェイムソンはスナーキー・パピーに関わる若手である。
そして最後に笑みを湛えたボズが登場。彼がギターを抱えるや否やカウントが掛かり、『Silk Degrees』所収、“What Can I Say”でリラックスした幕開けとなった。2曲目で早くも人気曲“Jojo”が飛び出し、イントロだけでヤンヤの喝采。頭上ではミラーボールが回り、思わずあの時代に引き戻される。そう、オーディエンスの多くはシニア層の紳士淑女。それを分かっているのか、アレンジはオリジナルにほぼ忠実だ。
でも今回驚いたのがバックコーラス。演奏陣3人の兼任なのだが、前回より明らかに滑らかさが増している。しかも誰かがファルセットでハモっているのか、女性がいるような空耳も。コーラスの新顔はジェイムソンだけだが、ボーカルにも定評がある人なので貢献度は高そうだ。
バンドの招集は、〈RHYTHM REVIEW〉と銘打たれた昨年のUSツアー以来半年ぶり。でもこのジャパンツアーも、東京初日から各地を回って8公演目。だからボズの歌もバンドの演奏も、興が乗ってきたのがよく分かる。しかしそこで一転、ボズがギターを持ち替え、近年の彼が傾倒するブルースカバーから、ボビー・ブランド“The Feeling Is Gone”をプレイ。身を乗り出す男性ファンがいる一方で、日本では少し好みが割れそうだ。ここでフィーチャーされたのはエリック・クリスタルのサックス。彼は今のバンドのキーパーソン的存在で、サックスのみならずキーボード、ギター、そして鍵盤ハーモニカとマルチプレイヤーぶりを発揮、名脇役として活躍した。

“We’re All Alone”など『Silk Degrees』の楽曲をたっぷり披露
ボズがアコースティックギターを抱えると、ステージはコク深いバラード“Slow Dancer”、そして激シブなリズム&ブルース回帰作『Come On Home』(1997年)の“Down The Drain”へと進む。ここでようやくヘリントンにソロパートが与えられ、彼のジャズ寄りの知的プレイが味わえた。再び『Silk Degrees』から2曲、特に名曲“Harbor Lights”では、エレピのイントロ、〈Son of a Tokyo Rose〉と歌い出す場面、1コーラス終了後、そして後半サンバに変わっての各ソロと、その都度熱いリアクションが返ってくる。ここが中盤のハイライト。
続いて『Dig』(2001年)からブルースロック“Call That Love”。その流れでブルージーなナンバーを続け、そのまま大定番“Somebody Loan Me A Dime”へとなだれ込む。ボズ自身、ここぞ!とばかりにエモいギターソロを弾き倒し、自身のルーツと思い入れの深さをアピール。メンバーのアドリブの後ろでレゲエのビートを挟んだのが新鮮だった。そして万雷の拍手が降り注ぐ中、ドラムが軽快な16ビートを刻み始め、お馴染み“Lowdown”をサラリと。続けてドライヴ感溢れる“Breakdown Dead Ahead”が歌われ、ここで一旦幕となる。
ピアノでシットリ始まったアンコールは、まず“We’re All Alone”で。ギターを持たず、マイクスタンドで丁寧に歌い上げるボズは、実は日本でしか見ることができない。更にツアータイトルの引用元と思しき“Lido Shuffle”で、アリーナ席はほぼ総立ちに。再びステージを降り3度目の登場で、珍しく「チャック・ベリーの曲をやるよ」と曲紹介。テナーを抱えたエリックが大御所の十八番ダックウォークをキメて大いに盛り上げる。
そして最後は「もう1曲だけ演るよ」と、『Silk Degrees』から7曲目となる“Georgia”を。前回も同作から数曲歌ったので、今ツアーが特別だったワケではないが、USツアーに比べ、女性ファンやAOR好きが集まる日本の客層を意識したのは確か。彼は日本に於ける自身のポジション、何を期待されているかをシッカリ認識し、これに応えるセットを用意してくれた。アンコールで少しはにかみながら「東京へ戻って来られて嬉しかった。ありがとう」と語ったのは、本心からだったに違いない。
年齢を重ねただけに、多少キーが下がっていたりはするのだろうが、そもそもこの歳でココまでシルキーに歌えること自体が、もはやミラクル。スレンダーな立ち姿、スマートな振る舞いを含め、今もダンディなボズがそこにいた。〈コレが最後か!?〉と言われつつ、まだまだ今後に期待させてくれるパフォーマンスだった。
SETLIST
BOZ SCAGGS
ONE FOR THE ROAD JAPAN TOUR 2026
2026年6月5日(金)東京・Kanadevia Hall(TOKYO DOME CITY HALL)
1. What Can I Say
2. Jojo
3. The Feeling Is Gone (Bobby “Blue” Bland cover)
4. Slow Dancer
5. Down The Drain
6. It’s Over
7. Harbor Lights
8. Call That Love
9. Thanks To You
10. Radiator 110
11. Somebody Loan Me A Dime (Fenton Robinson cover)
12. Lowdown
13. Breakdown Dead Ahead
ENCORE
14. We’re All Alone
15. Lido Shuffle
ENCORE 2
16. You Never Can Tell (Chuck Berry cover)
17. Georgia
RELEASE INFORMATION
リリース日:2026年5月27日(水)
品番:SICP-10164
価格:4,840円(税込)
完全生産限定盤
■日本独自企画
①2023年に本国でリマスタリングされた最新音源を使用
②高音質SA-CDステレオ層と、CDステレオ層のハイブリッドディスクを採用 ※通常のCDとしてもお楽しみいただけます
③CD層にはボーナストラックとしてライブ音源3曲を収録
④USオリジナルLPを再現した7インチ紙ジャケット仕様
⑤日本初発売時のLP帯を再現
⑥シングル盤復刻ジャケット(4種類)を封入
⑦日本版ブックレット:ボズ本人によるライナーノーツ翻訳/新規解説(金澤寿和)/歌詞・対訳付き
TRACKLIST
1. What Can I Say
2. Georgia
3. Jump Street
4. What Do You Want The Girl To Do
5. Harbor Lights
6. Lowdown
7. It’s Over
8. Love Me Tomorrow
9. Lido Shuffle
10. We’re All Alone
11. What Can I Say (Live)※
12. Jump Street (Live)※
13. It’s Over (Live)※
※はCD層のボーナストラックです。SA-CD層には含まれません
リリース日:2026年5月27日(水)
品番:SICP-10165
価格:4,840円(税込)
完全生産限定盤
■日本独自企画
①2023年に本国でリマスタリングされた音源を使用
②高音質のSA-CDステレオ層と、CDステレオ層のハイブリッドディスクを採用 ※通常のCDとしてもお楽しみいただけます
③USオリジナルLPを再現した7インチ紙ジャケット仕様
④日本初発売時のLP帯を再現
⑤シングル盤復刻ジャケット(4種類)を封入
⑥日本版ブックレット:日本盤LP発売時のライナーノーツ/新規解説(中田利樹)/歌詞・対訳付き
TRACKLIST
1. Jojo
2. Breakdown Dead Ahead
3. Simone
4. You Can Have Me Anytime
5. Middle Man
6. Do Like You Do In New York
7. Angel You
8. Isn’t It Time
9. You Got Some Imagination

