コラム

ボズ・スキャッグス、自身が歩んできた旅路を再び巡る新作『A Fool To Care』は香り高い深煎りコーヒーのような味わい

Photo Credit:Danny Clinch

 

 芳醇な味わい。決してクリアさだけでなく、渋み、苦みも含まれた、人間味。私事で、恐悦至極でございますが、根っからのコーヒー党でして、いい音楽を聴くと旨いコーヒーが飲みたくなります。まさにこいつを一聴した際に、「ああ!これ聴きながら、うまいコーヒー飲みたいなぁ!」となったわけで、このテキストをやりながら実は、お気に入りのソファで、お気に入りのカップでコーヒーをたしなんでおります。なのでへんちくりんな例えばっかりですが、お話させて頂きます。

 前作『メンフィス』から2年という、焙煎期間を経て新たに生み出された本作は、香り高い深煎りのコーヒーが醸し出すような味わい深き一枚。コーヒー業界はサードウェイヴなんて新たな〈波〉がやって来てしばらく経ちますが、ボズの放つ新しい〈波〉は、相も変わらず無骨なマスターが淹れたコーヒーのよう。一杯一杯ハンドドリップで丁寧に丁寧に入れるコーヒー。温かさと苦みとコクが同居した極上の一杯(一枚)。

BOZ SCAGGS A Fool To Care 429/コロムビア(2015)

  そんな珠玉の一杯のコーヒーを、お気に入りのソファで楽しみながら、目を閉じてみると映し出されるのは、ブルース、AORタンゴ、ラテン、サザンロック…etcボズ自身が50年近く歩んできた旅路の軌跡を、アメリカの広大な大地を、彼自身が再びめぐる物語。登場人物も実に豊かで、プロデューサーのスティーヴ・ジョーダンを中心に、レイ・パーカーJr.ジム・コックスウィリー・ウィークスといった手練れの名バリスタたちがそれぞれの焙煎方法と淹れ方で、ボズの育てた豆を料理していきます。個人的ハイライトは(4)“SMALL TOWN TALK”でして、この曲をこんな枯れた声でこんな枯れた佇まいでやられたら、そりゃあ泣きますよ。さらにはルシンダ・ウィリアムズが登場する(12)、これまた哀愁たっぷりに〈ザ・バンド〉の“WHISPERING PINES”を歌い上げるのです。さらには、ギタークイーン、ボニー・レイットのイカしたギターと歌唱を堪能できる(3)“HELL TO PAY”などコーヒーのお替りが止まりません。

 

LIVE INFORMATION

2015年 来日公演
○6/5(金)仙台 東京エレクトロンホール宮城
○6/8(月)札幌 ニトリ文化ホール
○6/10(水)、11(木)東京2daysSOLDOUT
○6/13(土)大阪 あましんアルカイックホール ○6/15(月)名古屋 名古屋市公会堂
○6/16(火)金沢 本多の森ホール
★追加公演決定!
○6/18(木)東京 Bunkamuraオーチャードホール     
http://udo.jp/Artists/BozScaggs/

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