間違いない王道の東京落語を聴かせてくれる柳家権太楼師匠による名人会シリーズの第10弾。これぞ江戸の風情。実際に会ったことはないのだけれど、これが江戸っ子の心地よさかと思わせる「家見舞」。そして、満を持しての「うどん屋」です。「うどん屋」といえば五代目柳家小さんであり、この柳家のお家芸をいま聴くなら権太楼師匠でしょう。めんどうくさい酔っ払いでたっぷり笑いをとってからの鍋焼きうどんの売り声に、寒さがしみる師走の夜空に立ち上るうどんの湯気が静かに浮かびます。今夜は絶対にうどんをすすりたくなる、心ほっこりでお腹が鳴る極上の一席です。