高橋アキのシューベルトシリーズもいよいよ第4弾。過去3作で後期三大ソナタに怪作「第17番」を取り上げたので次に来るのは、そう「第18番《幻想》」。かのシューマンにも絶賛され、シューベルトのソナタの中でも最高傑作と評価する人も少なくない大作。モデラートな第1楽章の始まり、歌謡的なスケルツォ風メヌエット。“シューベルトの音楽”が有機的に息づいている。そしてもう一曲のソナタは第9番。目まぐるしい転調、すべてがソナタ楽章を採るなど、これまたすさまじいシューベルトの意欲作。そんな質実剛健な音楽を高橋アキが確実に弾き上げるからこそ、彼の冒険もまた“有機的に息づく”のではないだろか。