「ぶっ壊れそうな〈鐘〉があったっていいじゃない、私の〈鐘〉だもの。」という言葉に象徴される、フジコ・ヘミングの音楽観、人生哲学がていねいに綴られた一冊。音楽とともに数々の苦難を乗り越えてきたフジコ。常に前向きに、いまを受け入れ、自分らしく生きる。彼女の語り口からは、自分と同じような悩みをもつ人々を勇気づけたい……という願いがひしひしと伝わってきます。音楽評論家が何を言おうと、自分は自分の演奏に涙を流してくれる人のためにピアノを弾く。そんなフジコの決意を知ったとき、彼女のピアノがなぜこれほどまでに多くの人の心を動かすのか、少しわかったような気がしました。