コラム

ピアニスト・榊原大がポップス名曲に初挑戦、生楽器の響き活かした味わい深いカヴァー集『Dear Love Songs』を語る

ピアニスト・榊原大がポップス名曲に初挑戦、生楽器の響き活かした味わい深いカヴァー集『Dear Love Songs』を語る

ピアニスト榊原大が贈る、オーガニック&テイスティなラブ・ソング集

 昨年2014年にデビュー25周年を迎え、初のクラシック作品集『Dear Classix』で話題を呼んだピアニスト、榊原大が彼のキャリアにおいてやはり初の挑戦となるポップスの名曲コレクション『Dear Love Songs』を発表した。生楽器の響きを活かした、味わい深い作品である。

 「もともと柔軟性があってポピュラリティーとオリジナリティーを備えた音楽が好きなんです。もちろん僕にとってはクラシックが一番大きなルーツですが、ロック、ジャズ、Jポップなど何でも聴いていましたからね。思えば、昔はとにかくちょっとクセがあってエッジの効いた音楽が好きでした。クラッシックならグレン・グールド、ジャズならキース・ジャレット、ロックならポリスとかね。でも、今ではジョージ・ウィンストンリチャード・クレイダーマンみたいにソフトでフワッと聴ける音楽の素晴らしさも理解できるようになってきました。近年の僕の音楽には、そんな心境の変化も反映されていると思いますよ(笑)」

榊原大 Dear Love Songs キング(2015)

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 カバー曲を採り上げた理由、そしてその難しさとは?

 「G-CLEFとしてデビューし、さらにソロになってからも、これまではオリジナル曲であることにこだわって自分を表現してきました。でも自分は作曲家である前にピアニストであり、既に存在する曲を演奏するだけでも充分に表現は出来ると思えるようになってきたんです。それから、僕が育ってきた時代がそうであったように、今の子供たちや若い世代に良質な音楽を届けてあげたいという気持ちもありますね。そしてカバー曲の強みは、これまで僕のことを知らなかった人にも聴いていただける可能性があるいうこと。しかし、スタンダード曲には “曲の持つパワー” というモノがあって、リスナーが思い描くイメージへ新たに手を加えるさじ加減が難しい。その点が “アーティストのパワー” で押し切ることのできるオリジナル曲との違いです。だから、カバー曲へのアレンジ/プロデュース作業はオリジナル曲以上に慎重になりますね」

 恋愛だけではなくもっと広い意味での大きな愛までを含めた “ラヴ・ソング”。そしてそれを表現する榊原のサウンドはもはや聴き手を選ばない。

 「集中してじっくり聴いていただいても結構ですし、お料理の最中や何かの片手間に軽く聴いていただいても大丈夫、そんなアルバムです。ピアノの演奏はもちろん、アルバムのサウンド全体が温かいアナログな質感に仕上がっているんです。穏やかなサウンドなんですが、聴けば聴くほど味わい深い大人のラヴ・ソング… ぜひそんな落ち着いた音空間に浸っていただければと思います」

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