2001年から新国立劇場で専属の合唱指揮者として、日本そして世界で活躍を続けている「三澤洋史」さんが綴る自伝的一冊。指揮者、演出家という立場から演奏家の様々な人間模様、そして、三澤さんが携わってきた舞台の裏側を実にユニークな語りで描かれている。自身がどのようにして音楽と出合い、現在の職に就くようになったのか。学生時代に山田一雄さんの自宅をアポなして突然訪問した事や、氏が『真の芸術家』と称賛しているフォークトへの熱い想い等々、興味深いエピソードが語られている。そういった中で最高のオペラ座の舞台をつくりあげる楽しさが熱く伝わってきてならない。