DENISE LASALLE A Lady In The Street Malaco(1983)

ハイ録音などで知られるミシシッピ出身のサザン・ソウル・ウーマンによるマラコ移籍第1弾。スムースなミディアムの表題曲を筆頭に、ディスコやブルースなどをモダンにまとめあげた快作で、ディープで大らかな歌声が輝きを放つ。ZZ・ヒル“Down Home Blues”のX指定なカヴァーも痛快。 *林

 

 

LATIMORE I'll Do Anything For You Malaco(1983)

モニカ&アッシャーのカヴァーやヒップホップ方面のサンプリングでも知られる瞬殺チューン“Let's Straighten It Out”を含む、元マイアミ・ソウルの生き証人による80年代マラコ屈指の名盤。ホール&オーツ“Sara Smile”のカヴァーも、師匠の手にかかるとヴェルヴェットの如き輝き。 *岩間

 

 

G.C. CAMERON Give Me Your Love Malaco(1983)

スピナーズのリード・シンガーで、モータウンからソロ作も出していた実力派のマラコ移籍作。故郷のミシシッピで録音され、表題曲のモダンなダンサーなど北部的な都会感覚と南部的なアーシーさが混在し、ソフトかつ無骨な歌声を聴かせる。マーヴィン・ゲイ曲のカヴァーも収録。 *林

 

 

DENISE LASALLE Right Place, Right Time Malaco(1984)

マラコでの第2弾。ZZ・ヒルの女性版とでも言うべきブルース色の強い内容だが、ラティモアとデュエットした表題曲のバラードなど、スケールの大きいデニスの歌声がたっぷりと味わえるサザン・ソウル盤だ。サム・ディーズ作のミディアム“Keep Your Pants On”も快唱。 *林

 

 

GREENS III Razor Malaco(1984)

後にスウィート・オブセッションとして蘇生する、デトロイトの3姉妹による初作。ヴァニティ6っぽい“You Want My Body”に顕著なプリンス色の濃さが特徴だが、60sガールズ・グループにも通じる賑やかな歌唱はティーンならでは。産業ロック的な大仰さと無機質なビートの混在ぶりが楽しい。 *出嶌

 

 

JOHNNIE TAYLOR This Is Your Night Malaco(1984)

スタックスやコロムビアを渡り歩いたレジェンドの、終の住処となったのはマラコだった。この移籍作では都会的なスロウの表題曲を筆頭に半数以上をジョージ・ジャクソンが書き、ジャンプ系もブルージー路線も円熟を深める形で見事に放熱。60~70年代の傑作群に何ら劣らぬ逸品だ。 *出嶌

 

 

BOBBY BLAND Members Only Malaco(1985)

80年代における〈ブルースの再生〉という意味においては、もっともマラコの功績を象徴する一作ではあるだろう。〈ブルースはソウルだ!〉を体現するようなアルバムだが、ブルー親分のシグネチャーな〈痰切りブヒブヒ唱法〉満載のゲトー感は、どこまでも晴れやかにいかがわしい。 *岩間

 

 

DAVID ST. GEORGE The Voices Of Dr. Dave Malaco(1985)

フィリー録音された謎のエレクトロ・ブギー盤、というマラコでは異色の一枚?だけに、このあたりの世界初CD化も快挙。オールド・スクールなラップ全開のフレッシュな“I'm Rappin'”からヘタウマ歌唱で愛を囁くスロウまで、ビシビシ轟くシンセ・ファンクの気持ち良さは、いま聴いてこそ。 *出嶌

 

 

THE ROSE BROTHERS The Rose Brothers Muscle Shoals Sound(1985)

元はシカゴのヘヴン&アースに在籍した、いがら声の極致グレッグ・ローズが、ほか3兄弟と組んでMSSから放ったデビュー作。メロウなチャートイン曲“I Get Off On You”からエレクトロ調まで、ヴォーカル・ユニット作としてはおもしろすぎる一枚。 *岩間

 

 

THE ROSE BROTHERS Everything's Coming Up Roses Muscle Shoals Sound(1986)

大半がMSSスタジオでの録音となる2作目。とはいえ表立って光るのはマッスル・ショールズという記号が喚起するイナタさよりも、当時のブラコン連中とのしなやかな同時代性だ。ジャム&ルイスっぽい鮮烈なアップから、紳士的なスロウまで薔薇薔薇という感じ。 *出嶌

 

 

MARGARET REYNOLDS Think About It Baby Malaco(1987)

70年代からTKディスコの一翼を担ってきたマイアミ出身の実力派ディーヴァ。マラコ入りしての本2作目では煌びやかなアップで時代の音を掴みつつ、滋味深いスロウに南部のコクを滲ませる。ラティモアとのデュエットやベティ・ライトの関与、ハイエナジーからレゲエまで地縁の活きた快盤。 *出嶌

 【参考音源】マーガレット・レイノルズの79年の楽曲“Keep On Holdin' On”

 

MOSLEY & JOHNSON Mosley & Johnson Muscle Shoals Sound(1987)

マラコの作家チームにして60年代から活動していた男性デュオが傍系のMSSから出した第1弾。歯切れの良いファンクやモダンなバラードを含み、ブルース・スプリングスティーン曲もカヴァーするなど多彩な内容だが、誠実な歌ゴコロと南部ソウルの良心が息づく。 *林

 

 

LITTLE MILTON Back To Back Malaco(1988)

熱いソウル漲るブルース系シンガーとして、真っ先に思い浮かぶのがリトル・ミルトン。84年マラコ契約以降の14作中5枚目となるのが本作。名匠ジョージ・ジャクソンの濃厚なバラッドを筆頭に、有名な〈どバラッド〉の“The Wind Beneath My Wings”に至るまで、オール燻し銀すぎ。 *岩間

 

 

MOSLEY & JOHNSON Premium Muscle Shoals Sound(1989)

MSSでの2作目。前作と同じくベースはサザン・ソウルながら、今作ではAOR風のメロウ曲やアーバンなブルースをムードたっぷりに歌い上げている。ジョージ・ジャクソン作の“The Cry For Freedom”はマラコ所属のスターたちが結集した人種差別反対ソングだ。 *林

 

 

SHIRLEY BROWN Fire & Ice Malaco(1989)

80年代前半の低迷期をものともせず、みごと大復活してみせた豪快レディー・ソウラーのマラコ移籍第1弾。ボビー・ウォマックとの超絶デュエットや、スティーヴィーの書いたルーファス曲のカヴァーを含む、どアタマ3曲でいきなりノックアウト必至という、おそるべき魂の讃歌集。 *岩間

 

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