KING FLOYD Well Done Chimneyville(1975)

ニューオーリンズ出身、“Groove Me”という特大ヒットを持ち、ソングライターとしての才にも秀でたサザン・ソウルマン、キング・フロイドマラコから放った5作品のうち、これは3枚目となるチムニーヴィル発の名篇。大らかでマイルドな余裕の歌唱は、まさに彼ならではの味わい。 *岩間

 

 

DOROTHY MOORE Misty Blue Malaco(1976)

ジャクソン生まれでマラコの看板となったドロシー・ムーア。後にモニカらも取り上げる名バラードの表題曲が大ヒットして編まれたのがこの初作だ。ウイリー・ネルソンのカヴァーもエディ・フロイド作の2曲も懐深い歌唱で包む、アーシーでメロウなサザン情緒の麗しさに引き込まれる。 *出嶌

 

 

EDDIE FLOYD Experience Malaco(1977)

“Knock On Wood”のヒットで知られるスタックスの看板シンガーがマラコに移って放った快作。盟友マック・ライスとの共同制作で、“Feel My Body”に代表されるファンキーなディスコ調アップをはじめ、フィリー・ソウル風のダンサーやスロウなどを逞しく温かいヴォーカルで聴かせてくれる。 *林

 

 

DOROTHY MOORE Dorothy Moore Malaco(1977)

ソロ第2弾。マラコらしいカントリー調のバラードが多くを占めるが、溌剌としたドロシーの歌が光るフレデリック・ナイト作の“Let The Music Play”などダンサー系のアップにも力を注いだ一枚。ポップス曲のサザン・ソウル解釈も見事で、絶頂期の勢いが随所に感じられる。 *林

 

 

DOROTHY MOORE Once Moore With Feeling Malaco(1977)

CD化はこれが世界初ながら、90年代にスノウボーイが取り上げた“Girl Overboard”の流麗なフィーリングを以て確たる評価を得ていた3作目。同じくサム・ディーズのペンによる幕開けの“Special Occasion”から、ディープな歌の紡ぐメロウなサニー・ムードの快さは尋常じゃない。 *出嶌

 

 

McKINLEY MITCHELL McKinley Mitchell Chimneyville(1978)

一時はシカゴで活動していたシンガーが故郷のミシシッピ州に戻ってチムニーヴィルから出した一枚(CDは6曲追加)。ゴスペルを基盤にブルース体質を持つ彼らしいブルーズン・ソウル的な内容で、再演となるシカゴ時代の曲やポップな50s名曲のカヴァーを渋くも朗らかな声で歌っていく。 *林

 

 

DOROTHY MOORE Definitely Dorothy Malaco(1978)

信じ難いことだけど、これが世界初CD化となる、マラコきっての歌姫ドロシーのレーベル4作目。カントリー系のトム・コリンズ仕切りだけあってソウル濃度はそれほど高いわけではないが、だからと言って、きめ細かに唄い込まれるレディー・ソウル世界に翳りはない。 *岩間

 

 

FERN KINNEY Groove Me Malaco(1979)

マラコのディスコ期を彩ったキュートな歌姫の処女作。同年にTKアニタ・ウォードをブレイクさせた布陣がバックを固め、キング・フロイドやシルヴィアのナンバーも可愛い声質を活かす軽やかなビート感で調理した快作だ。哀愁ポップな“Together We Are Beautiful”が全英1位を獲得。 *出嶌

 

 

TOMMY TATE Hold On Malaco(1979)

ソングライターとしても活躍したサザン・ソウルの奇才が、ココ時代の縁も保ちながら制作したマラコ録音の楽曲集。当時は日本でのみ出されたもので、ブルージーなバラードから熱いジャンプ曲までを塩辛いディープ・ヴォイスで歌い倒す。表題曲はジェイムズ・カーに提供したバラードの自演版。 *林

 

 

THE DUNCANS Gonna Stay In Love Malaco(1981)

もとは裏方のシンガー姉妹で、ダンカン・シスターズと名乗って79年にデビューを飾ったのちにリリースした、2枚目のリーダー作が本盤。トロント録音という異色ぶりや、81年という時代性もあって、ややAOR調の曲も目立つが、キュートな歌ヂカラに泣かされる。 *岩間

 

 

RUBY WILSON Ruby Wilson Malaco(1981)

出身地ダラスでは教師もしていたというルビーは、メンフィスに移ってから本格的にシンガーとして活動するが、アルバムとしてリリースされたのは本作のみ。マイケル・ジョンソンが放ったAORヒットの原曲や、ブレッドのカヴァーなど、ポップ曲においても流石に味わいは濃厚だ。 *岩間

 

 

Z.Z. HILL Z.Z. Hill Malaco(1981)

60年代から名門レーベルを渡り歩いてきたディープなシンガーがマラコから放った第1弾。自身のルーツとも言えるブルースやサム・クックの名曲をカヴァーし、気迫に満ちたスロウ“Please Don't Make Me(Do Something Bad To You)”などでサザン・ソウルマンとしての存在感を示した力作だ。  *林

 

 

POWER Power Malaco(1982)

ミネアポリス出身で、しかも5人組の甘茶テイストなヴォーカル・グループ……と、マラコにしては別格づくしのレア・グルーヴィーなユニットが唯一放ったアルバム。グループ名の元となったテンプテーションズへオマージュを捧げるかのような、11分以上に渡るヒット・メドレーに震えて眠れ。 *岩間

 

 

Z.Z. HILL Down Home Malaco(1982)

80年代マラコの方向性を決定づけた同社での第2弾。南部風情の素朴なブルース“Down Home Blues”、不貞ソングをほのぼのと歌った “Cheatin' In The Next Room”というジョージ・ジャクソン作の2曲を目玉とする、温かくも苦みばしった歌声が胸に沁みる一枚だ。 *林

 

 

BILL MOSS & THE CELESTIALS I Ain't Gonna Sing No Rock And Roll Malaco(1983)

J・モスの父親として知られるビル・モスが率い、ウエストバウンドジュウェルで活躍したゴスペル・バンドのマラコ移籍作。スロウの包容力はもちろん、パワフルな女性リードとオルガンがグイグイ引っ張るファンクはダップトーン好きにも推薦したい。 *出嶌

 

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