fox capture planが仕掛ける2015年の暴挙(?)、その最初の一手は……
昨年は『BRIDGE』がJAZZ JAPAN AWARDとCDショップ大賞を受賞し、続く『WALL』も大ヒットさせているfox capture planだが、今年は早くも3タイトルのリリースを予告済み。その第1弾となるミニ・アルバム+ライヴDVD『UNDERGROUND』についてカワイヒデヒロが語る。

 

【カワイヒデヒロ】82年生まれ、東京出身のベーシスト。
fox capture plan、Immigrant's Bossa Bandで活躍中

 

fox capture plan fox capture plan Playwright(2015)

 

【年内の3作リリース計画について】

 もともと去年から翌年もアルバムを出すことは決めていたんですが、DVD化することを目的に代官山UNITのワンマンを撮影していましたし、カヴァー・アルバムも作りたい、CM曲もリリースしたい……という制作欲が出てきて。おかげさまでセールスが好調なこともあり、勢いがある時にやれることはやり尽くしたいという想いがメンバーやスタッフとの話し合いで生まれ、じゃあ、〈来年まとめてやっちゃうか!〉と決断し、3作リリースという暴挙に出ました(笑)。もともとライヴDVDを出したいという想いは全員にあったのですが、DVDだけ出すのはインパクトに欠ける気もしていて。加えて、昨秋のアシックスA77のCM曲の反響が思っていた以上にあり、遅くとも半年以内には出したいと考えていたんです。鉄は熱いうちに打てって言いますしね! なのでミニ・アルバムとのセットなら最速かつインパクトもある形にできるのでは?と思いつきました。

 

【ミニ・アルバムについて】

 その時々によってアルバム・タイトルが命名されるタイミングは違うのですが、今回は後付けです。いい意味でクセのある曲やニッチな曲たちを収録したので、何となくアングラ加減は出ていたと思いますが、最大の決め手は“beyond the beyond”のMV撮影中に仁宮監督の「今回アングラ感が半端ないですね」という一言でした。そのMVは曲に合わせてダンサーの金野泰史さんが前衛的なダンスを踊るというかなり尖った内容で、演出も相まった結果ですね。その“beyond the beyond”はもともとCM用に作ったので、CMでの公開部分以外は新たに付け加える必要がありました。前半の曲調は従来のfcpテイストですが、リスナーの期待をいい意味で裏切る展開にしたくて、プログレを意識したキメや変拍子のセクションを中盤に持ってきました。タイトルは直訳すると〈その向こうの向こう側〉。CMから飛躍できたという心境と、同じ曲調でもやれることはまだあるという意気込みを言葉にするとこんな感じなのかな、と。

 “地下の世界に流れる時間”は岸本(亮、ピアノ)くんの曲なのですが、初めてデモを聴いた時点からすでに完成された世界観がありましたね。この曲は大きく分けて3部構成で、ポリリズムの使い方が上手い、というのが印象的です。ラストのドラムはいままでで一番激しいプレイではないでしょうか。

 僕の作曲した“Time to think”のコンセプトは変拍子バラードです。fcpは変拍子曲もバラードもありますが、両方揃えた曲はないよな、という試みで7/4拍子のバラードを作曲しました。出来上がったものを俯瞰で聴いて儚げな雰囲気から人生について考えてしまったりして、曲名はそんな時に思いついたものです。深い意味があるようでないような……とりあえず難しい曲が出来てしまいました(笑)。

 カヴァーしたウェイン・ショーターの“Adam's Apple”は〈BLUE NOTE plays BLUE NOTE〉という企画でブルーノート東京に出演する際に提案された候補曲から、〈これならfcp味にできる〉と確信を持って選んだ曲です。スマッシング・パンプキンズ“Tonight Tonight”は僕たちのアルバム恒例の90年代洋楽シリーズですね。みんな歳が近くて高校生の頃に聴いていた曲になるんですが、基本はリーダーのチョイスが多いです。岸本くんはいつもナイスなセレクトをしてきますね。どんな曲をやるにしても、fcpらしさが出るようにアレンジ、演奏することは意識していると思いますが、僕たちが演奏するだけでも〈fcpっぽさ〉が出るのは井上(司)くんのドラムがあるからかもしれません。


【ライヴDVDについて】

 DVDではMCをカットして演奏部分をなるべく詰め込みました。CDだけでは伝わらないライヴ特有の熱量がわかると思います。あと、曲に合わせた照明、MVを想わせる映写なども観どころですね。MCがどんな感じなのかが気になる方はぜひライヴへお越しください……カットした理由もわかるかもしれませんよ(笑)。

 この後は5月にUNIT、年末には恵比寿LIQUIDROOMでワンマンが決まっていて、こちらもソールドアウトしたいですね(笑)。次のカヴァー・アルバムは、まだ内緒ですが〈その曲やっちゃうんだ!〉と思ってもらえるチョイスになると思います。フル・アルバムの話はまたの機会に(笑)。