INTERVIEW

Apple WatchのCMソングに抜擢! ポップスの人懐っこさとアヴァンギャルドな芸術性が共存するホーリーチャイルドの初アルバム

Apple WatchのCMソングに抜擢! ポップスの人懐っこさとアヴァンギャルドな芸術性が共存するホーリーチャイルドの初アルバム

 ポップスの人懐っこさと、アヴァンギャルドな芸術性――LA在住の男女ユニット、ホーリーチャイルドの音楽を一言で表すとそうなるだろう。もともとジョージ・ワシントン大学で国際情勢を学んでいた2人だが、同時にヴォーカル担当のリズ・ニスティコはダンサーとしても活動し、プロデューサーのルイス・ディラーはジャズを副専攻していたそうで、両者を結び付けたものはやはり音楽だった。

 「ちなみに私は絵も描いていて、NYのギャラリーに出展していたのよ! でも抽象的すぎて、理解してもらうにはちょっと難しい作品だったみたい。それでフラストレーションを感じるようになっちゃって……。そんな時にルイスと出会って、以前よりもっと音楽にのめり込むようになった。ポップ・ミュージックを聴くと、みんなすぐにコーラスで繋がってくれるでしょ? 少なくとも、理解してくれるの。美術よりも音楽のほうが、ずっと親しみを感じられるんだと思う」(リズ)。

 「僕たちは世界のみんなと繋がりたいんだ。その思いは本当に強い。そのために、ポップであることが何よりも必要だと思うんだよね」(ルイス)。

 〈世界のみんなと繋がる〉大きな一歩として、彼らの楽曲のなかでもとびきりキャッチーで中毒性の高い“Running Behind”が、今年に入り、Apple WatchのTVCMソングに抜擢される。Apple関連のCMと言えば、ホーリーチャイルドと同じ男女デュオ編成のチェアリフトなど、過去にも多くの新人がブレイクのきっかけを掴んできた登竜門的な存在だ。

 「AppleのCMっていつも良い曲が使われているから、彼らは良い耳をしているってことよね(笑)。凄く光栄だったわ。オンエアが開始する1か月くらい前に知らされたんだけど、私は誰にも言わなかった。ママにさえ教えなかったんだから!」(リズ)。

 「あの曲を選んでくれたのも良かったよね。アフロ・ブラジリアンとかアフロ・キューバンのリズムに影響を受けたナンバーなんだよ。彼女の歌メロがピッタリはまると思って、合わせてみたのが始まりだったな」(ルイス)。

HOLYCHILD The Shape Of Brat Pop To Come Glassnote/HOSTESS(2015)

 そんな“Running Behind”が巷の話題をさらうなか、いよいよファースト・アルバム『The Shape Of Brat Pop To Come』がリリースされる。オーネット・コールマンの名盤をもじったタイトルもニクいが、そもそも〈ブラット・ポップ〉とは何なのだろう?

 「ブリット・ポップとは関係ないわよ。それよりもアート・ポップに近いわね。〈ブラット〉って本当は12歳以下の生意気な子どもにだけ使われる言葉なの。私たちがやっている音楽はポップだけど、お決まりの〈ポップ・ミュージック〉とは少し違う自分たちだけのサウンドだし、皮肉の意味も含めて〈ブラット・ポップ〉と付けたわけ。私たち自身の文化から見たジェンダーや男女の役割、お金とか自己愛、それらについて音楽を通じて定義しようとしているのよ」(リズ)。

 共同プロデュースにはグレッグ・ウェルズアデルケイティ・ペリー他)、シアン・ライアダンファイヴ・セカンズ・オブ・サマーキース・アーバン他)というグラミー・ノミネート経験も持つ2名のヒットメイカーが参加。フェイク感の強いトロピカル風味も随所で顔を出す12の収録曲は、ただ親しみやすいだけでなく、どこか毒気を孕んでいるところが魅力的だ。それを象徴する一曲が、ダブステップ調の“Money All Around”だろう。

 「お金とか美のように惹き付けられるものや、セレブ、名声……そういうことに関する私たちの考えを歌った曲ね。実はもともとアルバムのアートワークは2通りあって、オリジナルは私の身体だったの。裸で床に横たわっていて、1ドル紙幣を覆っている写真よ。私はレン・ハンっていうフォトグラファーが大好きで、彼の作品と似ているかな。凄く美しいけれど、違和感もある――その居心地の悪さが、物事を深く考えさせてくれると思うの」(リズ)。

 

ホーリーチャイルド
リズ・ニスティコとルイス・ディラーから成る2人組。ジョージ・ワシントン大学在学中の2011年に結成。卒業後にLAへ移住し、グラスノートと契約する。2013年の配信シングル“Happy With Me”が、Hype Machineのチャートで1位を記録。Billboard誌などで特集が組まれ、知名度を上げる。2014年3月にファーストEP 『Mindspeak』を発表。〈Firefly〉や〈SXSW〉といった大型フェスにも出演するようになる。今年に入ってパッション・ピットのツアー・ サポートに抜擢。先行シングル“Running Behind”がApple WatchのTVCMに起用されて話題を集めるなか、ファースト・アルバム『The Shape Of Brat Pop To Come』(Glassnote/HOSTESS)の日本盤をリリースする。

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