コラム

小曽根真がプロコフィエフ、B・マルサリスがジョン・アダムズに挑む東京都交響楽団との〈Jazz meets Classic〉が今秋に開催

小曽根真×ブランフォード・マルサリス
「“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団」

今年のゲストはブランフォード・マルサリス!
ジョン・アダムズの 《サクソフォン協奏曲》をブランフォードが!
そして小曽根はプロコフィエフ《ピアノ協奏曲第3番》を!

 

(C)Yow_Kobayashi

 

(C)Palma_Kolansky

 

 ジャズを中心に世界的に活躍するミュージシャンが、オーケストラとコンチェルトを演奏する。オーケストラはといえば、ビート感のある作品を演奏。通常の定期演奏会や名曲コンサートではプログラムされないような作品が、“この人”のソロで聴ける稀有な機会。それが「“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団」だ。

 この秋におこなわれるコンサートでは、ジョン・アダムズ《サクソフォン協奏曲》をブランフォード・マルサリスが、プロコフィエフ《ピアノ協奏曲第3番》を小曽根真がソロをとる。いわゆる“ジャズ”のフィールドを中心としている2人が、クラシック=現代音楽の作品に正面からとりくむ。そこではクラシック畑の演奏家とはまた異なったものが、かならずや、あらわれてくる。それをことばにするのは容易ではない、というより、ほとんど無理だ。だが、確実にそれは、ある。

 「“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団」は、2013年に始まった。2013年、パキート・デ・リベラモーツァルト《クラリネット協奏曲》。2014年、アルトゥーロ・サンドヴァルショスタコーヴィチ。小曽根真は、この列島代表のように、連続してステージにあがっていて、ショスタコーヴィチ《ピアノ協奏曲第1番》は、トランペットとピアノと弦楽合奏だから、ここでサンドヴァルとの共演もおこなっている。おもしろいのは、パキートとサンドヴァルがキューバ出身であるのに対し、今回のブランフォードはアメリカ合衆国、ニューオーリンズ出身であること。前二者にとってのクラシック/ジャズと、ブランフォードにとってのそれは、たぶん、身体的にも感覚的にも、少なからず立ち位置が、プレイのありようが、異なっているはずだ。そうしたコントラストがまたおもしろい。

【参考動画】小曽根真と大阪フィルハーモニー交響楽団による
ガーシュウィン〈ラプソディ・イ­ン・ブルー〉コンサート映像

 

 ブランフォード、わたし自身は、弟ウィントンより評価が高い。マルサリス4兄弟の長男だからという年功序列ではもちろんなく、落ち着いていながら“いま”よりちょっと先の空気を感じとっているようにみえるから。それでいながらヘンな肩肘をはって、自分がジャズを背負うなんて力みをみせないから。ジャズのひとつの発祥の地で生まれ育ったマルサリス家だから、その「伝統」への意識がつよいのはわかる。そのうえで、ブランフォードのプレイの自由さ、闊達さを、わたしは感じている。今回だって、ただ「クラシック」をやるんじゃない。まだ初演されてそれほど経っていないアダムズの協奏曲を奏するというだけで、お、とおもうのである。

 ちなみにアダムズの協奏曲、6月23日(火)、オペラシティ・コンサートホールでおこなわれる「Music Tomorrow 2015」でもプログラムされている。こちらのソロは須川展也。21世紀の、作品をこんなかたちで聴き較べることができる機会もなかなかにない。それはアダムズの親しみやすさにも、またコンチェルトゆえのテクニカルな快楽にもよっているのだろうが。

 ラフマニノフでもショスタコーヴィチでもでてこないプロコフィエフ独特のアレグロ、その疾走感を小曽根真に、という楽しみについては、いまさら強調するまでもない。でも、今回は2人の共演はどうなっているのだろう? 特にプログラムにははいっていないけれど……。それが逆にこちらの好奇心を刺激せずにはいられない。

 「“Jazz meets Classic” with 東京都交響楽団」は都内1カ所だけでおこなわれるわけじゃない。東の上野、東京文化会館と、西の、オリンパスホール八王子でという2カ所であることにも意味がある。世界の都市のなかでも東京は規模が大きい。だから、おなじ東京といっても場所によってはかなり移動にも時間がかかる。その意味では、こうした東と西でべつべつにおなじ公演がおこなわれるのはとても有り難い。上野で土曜の夕方、17時の開演なら、それまでミュージアムに行った帰りにコンサートというながれがつくれるし、八王子で日曜の15時なら、コンサートから一家で外食というのも可能だろう。今回のような企画/プログラム公演が、東京の東と西で2回聴くことができるというのは、実はすごいことなのだということをあらためて思う。

 

LIVE INFORMATION

Music Program TOKYO
小曽根真×ブランフォード・マルサリス
"Jazz meets Classic" with 東京都交響楽団

○10/24(土)17:00開演 会場:東京文化会館 大ホール
○10/25(日)15:00開演 会場:オリンパスホール八王子
出演:エドウィン・ウトウォーター(指揮)ブランフォード・マルサリス(sax)小曽根真(p) 東京都交響楽団
曲目:バーンスタイン:「オン・ザ・タウン」より“3つのダンス・エピソード”
ジョン・アダムズ:サクソフォン協奏曲(2013)
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 op.26
www.t-bunka.jp/

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