神楽坂に鳴るアコースティックな響き

 じめじめとした夏に、涼しいところで音楽を聴く。大きなホールではなく、こじんまりしたところで、じっと声に耳をかたむける。そんなライヴハウスが神楽坂だったりしたら、どうだろう。

 ライヴハウスThe Glee、この夏のラインナップとして掲げられているシリーズに「Voice In The Side vol.1」がある。七夜にわたって、さまざまなタイプのうた、声と楽器が調和する音楽をめざすシンガーソングライターがならぶ。NHKみんなのうた《山鹿のピアノ》のエンドレスライス樋口了一村上ゆきのユニット)、幅広い活動をおこなう光田健一岩下清香平田みずほによるユニットmono-folio、等など、うたのありようにむけて、それぞれのスタンスをとっているのをみることができる。

 

エンドレスライス

 

【参考動画】エンドレスライスの2014年のシングル“結婚写真”

 

 ステージと客席が一体となってもりあがるというよりは、ここではミュージシャンと聴き手が音楽を共有し、音楽でコミュニケートする場だ。ピアノはNYスタインウェイB-211、1925年モデル。音響設備とアコースティックの響きには自信がある、というところに惹かれる。正直、いいミュージシャンは来るけど、音楽を聴くにはどうも、という店だってしばしばあったりするのだから、こうしたところに気をつかい、前面にだしているというのは大切だ。

 

mono-folio

 

 神楽坂といっても、The Gleeは、いい意味で、微妙なところにある。昔日とはかなり違って、いまや一大観光地。夜ともなると多くの人たちが行き交い、急いでいたりすると人をよけるのが大変だ。この大きな坂からちょっと横道にはいる、と、そこに店がある。騒がしさまですぐなのだ。

 ところが、である。人びとがうねっている通りと逆に行くと、小さな飲食店がある細い道がある。地元の八百屋さんや豆腐屋さんがあり、雑貨の店や銭湯がある。大声をあげて歩いている人はいない。TheGleeからでたら、右に行くか左に行くか、それによって音楽にふれた心身のやり場を変えることができる。これはなかなかないロケーション。

 

花れん

 

 上記、シンガーソングライターのシリーズとともに、8月から9月にわたっては「Hipped on Jazz vol.1」もある。ベースの中村健吾、フルートの佐々木優花、ヴィブラフォンの山本玲子、ヴォーカルの青木カレン、ピアノのアキコ・グレースと尺八の石垣秀基といった組みあわせもある。楽器の多様さがさりげなくならべられているところがうれしい。

 The Gleeは音楽のタイプも、また環境もいろいろ選べる、ちょっと珍しいタイプのライヴハウス。そしてあわせて、神楽坂という街の散策にも!

 

LIVE INFORMATION

The GLEE Singer Song Writer Series
「Voice In The Side vol.1」
○7/11(土) 光田健一

 

○7/18(土) エンドレスライス
○7/20(月・祝) 玉城ちはる桜庭和福由樹子

 

○8/25(月) 花れん→花れん&扇谷研人 with 山田章典&梶谷裕子
○8/28(金) mono-folio
○8/29(土) 遠藤響子

 

○9/13(日) *はなおと*

 

〈Hipped on Jazz vol.1〉
○8/19(水) 山本玲子
○8/24(月) 佐々木優花
○8/26(火) 中村健吾
○8/27(木) アキコグレース&石垣 秀基
○9/11(金) 細川千尋
○9/18(金) 青木カレン
○9/21(月・祝) 名知玲美&永田ジョージ&鈴木直人 ......and more! 
会場:ザ・グリー
http://theglee.jp/