音楽と科学の関係を解き明かす!
新形式のオーケストラ公演がまもなく開催!!
日本の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の技術の延長にはない、より大胆で挑戦的な発想に基づいた研究開発(ムーンショット)を推進する新制度〈ムーンショット型研究開発制度〉をご存知だろうか。そこでは、内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省が柔軟かつ強固に連携。国が一丸となって「Human Well-being(人々の幸福)〉を追求し、その基盤となる社会、環境、経済の諸問題の解決を目指すという一大プロジェクトだ。
2021年1月、この〈ムーンショット〉を模索すべく動き出したのが、指揮者の西本智実がチームリーダーを務める〈西本智実ムーンショット音楽感動共創プロジェクト〉音楽科学チーム。そして早くも今年5月に、世界的に活躍する西本&イルミナートフィルによって、〈サプリメントコンサート ~脳科学が誘う音楽の不思議~〉と題とした新しいオーケストラ公演が実現することになった!
西本が音楽と科学の共創を志したのは、幼少期の体験がきかっけだったという。
「77年にアメリカが打ち上げた無人惑星探査機ボイジャー。そこには、金メッキ製の銅板レコード『ゴールデンレコード』が搭載されていて、とてもワクワクしたのを覚えています。収録された波や雷の音、生物の鳴き声、そして生活音までもが宇宙に解き放たれたのですから。ああ、ドラえもんの時代が始まったと思いました」
その後、中学生になり、レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿と出会い、音楽と科学の接点にますます夢中になっていったという彼女。この一見両極とも思われる両者の関係を次のように語る。
「音楽と科学の歴史を遡ると、元々は同じ古代ギリシャのピタゴラス楽派に辿り着くんです。欧米では近年、音楽と科学を結びつけた研究が始まっていますが、私も音楽と科学には同じ観点があるという考えで舞台演出に取り組んでいます。それに音楽は楽譜に記録することで後世に伝えられてきましたよね。その2次元的なデータが演奏家によって3次元で表現され、さらに音楽の中で時空を越えることで4次元的な広がりまでも見せる。こうした科学的な技術や発想は音楽表現にとても重要だと思います」
9日の大阪、21日の愛知、28日の神奈川と、全国3会場で行われる今回の公演。会場によって演目や出演者が異なるが、全公演のテーマは共通しているそうだ。
「私自身、音楽に心を慰められた経験があり、それがきっかけで音楽の道を志してきました。だから、誰もが享受できる音楽によって、世界中の人々が幸せや希望を抱ける世界の実現を目指したい。今回は、聴き手の皆さんそれぞれが同じ空間にいながらも、色彩豊かな音楽の中で独自の風景を脳裏に描いて行く〈心の旅〉を共有できればと思っています」
大阪は近藤嘉宏(ピアノ)、名古屋は加藤知子(ヴァイオリン)、横浜は古川展生(チェロ)&中島麻(ヴァイオリン)と、日本を代表する名手がソリストとして登場。さらに前半には、東大病院所属の医師・佐地里帆を迎え、実演と解説を交えながら〈音楽の不思議〉の解明に迫る当公演。そうした盛り沢山な内容な中で、もう一つ大きな聴きどころなのが、後半に行われる新進気鋭の作曲家アレクセイ・ショールの作品演奏と言えるだろう。
「70年にウクライナで生まれ、現在アメリカを中心に活躍中の彼の作風は、非常に色彩豊かで絵画的。大阪では近藤さんが〈Travel Notebook〉。愛知では加藤さんが〈Phantasmas〉。神奈川では古川さんが〈Musical Pilgrimage〉、中島さんが〈Seascapes for Violin〉。と、すべて異なる作品をお届けしますのでお楽しみに」
2050年までに月や火星など宙居住空間と地球を結ぶムーンショット音楽芸術祭の開催を提案しているという西本&ムーンショット。その注目の第一歩をくれぐれもお聴き逃しなく!!
西本智実 (にしもと・ともみ)
指揮者・舞台演出家。
世界経済フォーラムヤンググローバルリーダー、バチカン国際音楽祭名誉パートナー指揮者、大阪国際文化大使、広州大劇院名誉芸術顧問、ヨーロッパ文化支援財団指名指揮者、慶応義塾大学SFC研究所上席所員(音楽科学・舞台芸術科学)他。
ヨーロッパ・全米・ロシア・アジア・イスラエル約30ヵ国の各国を代表するオーケストラ・名門歌劇場、国際音楽祭より招聘。
2015年・2016年G7サミットの日本国テレビCMに起用。CNNインターナショナル(TV)、ZDF(WEBSITE)、他で取り上げられるなど、世界から注目を集めている。
芸術監督としての舞台演出・指揮『泉涌寺音舞台』は【ニューヨークUS国際映像祭 TVパフォーミングアーツ部門銀賞】【ワールドメディアフェスティバル ドキュメンタリー芸術番組部門銀賞】受賞するなど受賞多数。
LIVE INFORMATION
Japan Grande Classico Music Festival
西本智実指揮 サプリメントコンサート ~脳科学が誘う音楽の不思議~
○5月9日(日)14:00開場/15:00開演
大阪:ザ・シンフォニーホール
○5月21日(金)17:30開場/18:30開演
名古屋:愛知県芸術劇場コンサートホール
○5月28日(金)17:30開場/18:30開演
横浜:神奈川県立音楽堂
【指揮】西本智実(東京公演)
【出演】大阪:近藤嘉宏(p) 東京:加藤大樹(p) 名古屋:加藤知子(vn)横浜:古川展生(vc)*中島麻(vn)**イルミナートフィルハーモニーオーケストラ
【解説】指揮者:西本智実
医師(東大病院所属):伊佐地里帆
【曲目】
[大阪]
ドビュッシー:『小組曲』小舟にて・行列・メヌエット・バレエ
ベートーヴェン:交響曲第6番第1楽章
R・コルサコフ:『熊蜂の飛行』
J・シュトラウス二世:『雷鳴と電光』他
Alexey Shor:『Travel Notebook』 ピアノ独奏 近藤嘉宏
[名古屋]
モーツァルト:歌劇『後宮からの逃走』序曲
ベートーヴェン:交響曲第6番第1楽章
R・コルサコフ:『熊蜂の飛行』
ドビュッシー:『小組曲』小舟にて・行列・メヌエット・バレエ 他
Alexey Shor:『Phantasms』 ヴァイオリン独奏 加藤知子
[横浜]
ドビュッシー:『小組曲』小舟にて・行列・メヌエット・バレエ
ベートーヴェン:交響曲第6番第1楽章
R・コルサコフ:『熊蜂の飛行』
J・シュトラウス二世:『雷鳴と電光』/他
Alexey Shor『Musical Pilgrimage』 チェロ独奏 古川展生/『Seascapes for Violin』 ヴァイオリン独奏 中島麻